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» 2009年02月27日 22時27分 UPDATE

「徹底的に争う」とJASRAC加藤理事長 排除命令、YouTubeやニコ動に影響は (1/2)

JASRACは公取委と徹底的に争う構え。加藤理事長は会見で、語気を強めながら公取委への不服をあらわにした。YouTubeやニコ動と結んでいる包括契約には影響はなさそうだ。

[岡田有花,ITmedia]
画像 加藤理事長(中)と菅原常務理事(左)、顧問弁護士の矢吹氏

 日本音楽著作権協会(JASRAC)の加藤衛理事長は2月27日、テレビ局など放送事業者と結ぶ「包括利用許諾」契約をめぐり、公正取引委員会から排除命令を受けた件について記者会見で説明した。排除命令を受け入れず、審判で争う方針。時おり語気を強めながら、公取委への不服をあらわにした。

 JASRACはYouTubeやニコニコ動画とも包括契約を結んでいる。だが、今回の排除命令は放送局との契約のみが対象。利用楽曲のカウント方法が放送局と異なることもあり、影響はないようだ。

「包括契約は世界標準」 問題は

 包括契約とは、放送された楽曲の実数に関わらず「放送事業収入の○%」といった形で、使用料を包括的に算定する方法。楽曲を使用する際、1曲1曲許諾を取ってそれぞれについて使用料を支払うという手間が省ける。

 加藤理事長は包括契約について「現段階で最良の方法」と主張する。「欧米でも広く行われており、世界標準と言って過言でない」。放送局とは30年ほど前から包括契約を結んでおり、「放送局と長い交渉の末に合意した」という。

 公取委が問題視したのは、包括契約そのものではなく、使用料の算定方法だ。包括契約を結んでいる放送局は、JASRAC楽曲は使い放題。だが、JASRAC以外のの管理団体が管理する楽曲を使用すると、JASRACに支払う使用料に上乗せして支払う必要がある。

 放送局は使用料の追加負担を嫌って他の管理事業者の楽曲を利用しないため、他事業者は放送向け管理事業を営むことが困難になっていると公取委は指摘。使用料の算定方法を改善し、放送で使われた楽曲のうち、JASRAC楽曲の割合を反映した方法に改めるよう命令している。

 具体的な算定方法は明らかになっていないが、放送局が別の管理団体の曲を使った場合、その割合を計算して使用料を減額するといった方法を想定しているようだ。

イーライセンスの参入が困難に

 音楽著作権管理事業は60年以上JASRACが独占していたが、2001年の「著作権等管理事業法」施行で新規参入が認められ、イーライセンスやジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)などが参入した。

 公取委は排除命令の「理由」で、新規参入阻害の事例として、イーライセンスの放送分野への参入が困難だったことを説明している。

 公取委によると、イーライセンスは2005年、放送分野の著作権管理への参入を準備。これを受け日本民間放送連盟はJASRACに対し、使用料引き下げの意向を確認したが、JASRACは減額する意思がないと回答したという。

 イーライセンスは06年、放送分野の著作権管理に参入。エイベックスマネージメントサービスから、大塚愛さんの「恋愛写真」など人気曲について、放送に関わる著作権管理委託を受けた。だが放送局は、使用料の追加負担を嫌ってエイベックス楽曲をほとんど放送しなかったという。

 対策としてエイベックスとイーライセンスは約3カ月間、放送の際の使用料を無料化。だがその後も使用料を徴収できる見通しが立たなかったため、エイベックスはイーライセンスとの契約を解消したという。

「公取委の認識は間違っている」

 加藤理事長は排除命令に納得できないと話し、「公取委の認識は間違っている」と真っ向から批判。放送局は、新規参入事業者の楽曲を使いたければ、別途使用料を支払うのが当然と述べる。

 「新規参入が認められる以前から、インディーズ楽曲や外国曲などで、JASRACが管理していない曲はあり、放送局は、別途使用料を支払っていた。新規参入があったからといって、JASRACの管理楽曲が減ったわけではない。JASRACの管理楽曲が新規参入事業者に持ち出された、という公取委の認識は事実と違う」

 著作権管理事業者は、楽曲のラインアップで競争すべきと持論を展開。「音楽はし好性の強いもの。放送局が人気曲を使わなければ、エンドユーザーは不満に思う。エンドユーザーを満足させられるかどうかが競争力で、預かっている楽曲の数は関係ない」

「全曲報告はまだ不可能」

 放送で使われた楽曲のうち、JASRAC管理曲の割合を算定して使用料に反映させるなら、「放送局から楽曲を全曲報告してもらう必要がある」と加藤理事長は指摘。これは現状では不可能という。

 「全曲報告の取り組みは、民放連とも合意しており、放送局の協力を得ながら03年から進めてきた。キー局はすでに全曲報告になっているが、地方局などが対応していない」

 全曲報告していない局は、使った楽曲を13週間に1回、報告してもらい、その結果から類推して使用料を算定・徴収している。この仕組みを利用して、JASRAC管理楽曲の割合を推定することもできそうだが、「全曲報告に取り組んでいる今やっても中途半端」なため、行うつもりはないという。

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