「パンカク」という耳慣れない名前の日本のベンチャー企業が開発したiPhoneアプリが、米国App Storeの有料アプリダウンロードランキングで1位になった。3D空間上でバイクを操り、敵のバイクを倒す「LightBike Full version」だ。同社でアルバイトしている大学生が、1人で2カ月間かけて完成させたという。
1月29日に公開し、これまでのダウンロード(DL)数は約20万。機能を制限した無料版(1月20日公開)は120万以上DLされている。なぜLightBikeは1位を取れたのか、iPhoneアプリを開発する工夫とは――同社の塚田真之介副社長に聞いた。
LightBikeは、画面の左右をタッチして3D空間上のバイクを操り、敵より長い時間走れば勝ちというゲームだ。バイクが走った軌跡が壁となって空間上に現れるので、壁で敵の進路を防ぎ、倒すのがポイントだ。
「トロンゲーム」と呼ばれるレースゲームの1種。プレイ画面を分割し、1台のiPhoneで同時に2人でプレイしたり、ほかのiPhoneとWiFi接続して対戦するモードもある。
アプリの価格は2ドル99セントだが、2月27日までは99セントのキャンペーン価格で販売。App Storeのアプリダウンロードランキングは(約3時間ごとに更新)で、有料版は2月7日から10日間ほど1位をキープし、1万5000回以上DLされた日もあった。
同社はこれまで、顔写真を認識してクリスマスっぽい装飾をする「クリスマスカメラ」や、相性診断ができるアプリなどに公開してきたが、DL数は多くても200前後、米国ユーザーは半数程度だった。LightBikeのDL数はけた違いで、米国ユーザーも約8割に上る。
Webサイトの受託開発などを行う同社は2007年に設立。社員は、インターンの学生を含め12人と小所帯だ。
iPhoneアプリの開発を始めたのは昨年6月で、「何か新しいことをやりたい」と、iPhoneが日本で発売される前に参入を決めた。「ライバル企業がそれほどいないうちに、参入しておかないとベンチャーは勝てない」と考えたという。
iPhoneに注目したのは「面白そうだったから」だ。「社内にMacユーザーが多く、Appleに親しみもあった。アプリが売れなくても、会社の知名度やエンジニアのモチベーションの向上につながればいいと考えた」
ターゲットは米国のユーザー。iPhoneユーザーが最も多く、市場の大きい米国で挑戦したいと思ったからだ。
ゲームの開発経験はなかったが、LightBikeで初のゲームアプリに挑戦した。「App Storeを見ているとランキング上位にゲームアプリが多いので、作ってみたかった」という。
マルチタッチで操作できるというiPhoneの特徴を活用したアプリを開発したいと考え、題材を探していたとき、アルバイトのオーストラリア人に「海外で受ける」とすすめられたのがトロンゲームだった。
トロンゲームは、PC向けにもさまざまなタイプが公開されているが、LightBikeでは、画面を分割して同時に2人でプレイできるモードを搭載するなど、“iPhoneらしさ”を生かしている。
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