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米国1位のiPhoneアプリを作るには――日本のベンチャー・パンカクの挑戦(1/2 ページ)

» 2009年04月15日 10時44分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 ランキング1位に

 「パンカク」という耳慣れない名前の日本のベンチャー企業が開発したiPhoneアプリが、米国App Storeの有料アプリダウンロードランキングで1位になった。3D空間上でバイクを操り、敵のバイクを倒す「LightBike Full version」だ。同社でアルバイトしている大学生が、1人で2カ月間かけて完成させたという。

 1月29日に公開し、これまでのダウンロード(DL)数は約20万。機能を制限した無料版(1月20日公開)は120万以上DLされている。なぜLightBikeは1位を取れたのか、iPhoneアプリを開発する工夫とは――同社の塚田真之介副社長に聞いた。

10日間、1位をキープ

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 LightBikeは、画面の左右をタッチして3D空間上のバイクを操り、敵より長い時間走れば勝ちというゲームだ。バイクが走った軌跡が壁となって空間上に現れるので、壁で敵の進路を防ぎ、倒すのがポイントだ。

 「トロンゲーム」と呼ばれるレースゲームの1種。プレイ画面を分割し、1台のiPhoneで同時に2人でプレイしたり、ほかのiPhoneとWiFi接続して対戦するモードもある。

 アプリの価格は2ドル99セントだが、2月27日までは99セントのキャンペーン価格で販売。App Storeのアプリダウンロードランキングは(約3時間ごとに更新)で、有料版は2月7日から10日間ほど1位をキープし、1万5000回以上DLされた日もあった。

 同社はこれまで、顔写真を認識してクリスマスっぽい装飾をする「クリスマスカメラ」や、相性診断ができるアプリなどに公開してきたが、DL数は多くても200前後、米国ユーザーは半数程度だった。LightBikeのDL数はけた違いで、米国ユーザーも約8割に上る。

「ライバルがいないうちに」――iPhoneアプリ参入のきっかけは

画像 2人でプレイするモードもある

 Webサイトの受託開発などを行う同社は2007年に設立。社員は、インターンの学生を含め12人と小所帯だ。

 iPhoneアプリの開発を始めたのは昨年6月で、「何か新しいことをやりたい」と、iPhoneが日本で発売される前に参入を決めた。「ライバル企業がそれほどいないうちに、参入しておかないとベンチャーは勝てない」と考えたという。

 iPhoneに注目したのは「面白そうだったから」だ。「社内にMacユーザーが多く、Appleに親しみもあった。アプリが売れなくても、会社の知名度やエンジニアのモチベーションの向上につながればいいと考えた」

 ターゲットは米国のユーザー。iPhoneユーザーが最も多く、市場の大きい米国で挑戦したいと思ったからだ。

 ゲームの開発経験はなかったが、LightBikeで初のゲームアプリに挑戦した。「App Storeを見ているとランキング上位にゲームアプリが多いので、作ってみたかった」という。

 マルチタッチで操作できるというiPhoneの特徴を活用したアプリを開発したいと考え、題材を探していたとき、アルバイトのオーストラリア人に「海外で受ける」とすすめられたのがトロンゲームだった。

 トロンゲームは、PC向けにもさまざまなタイプが公開されているが、LightBikeでは、画面を分割して同時に2人でプレイできるモードを搭載するなど、“iPhoneらしさ”を生かしている。

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