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ACアダプタを10分の1に小型化 富士通研、消費電力大幅削減につながる新トランジスタ

» 2009年06月25日 07時00分 公開
[ITmedia]
photo 新トランジスタの構造

 富士通研究所は6月24日、電子機器の低消費電力化につながる新トランジスタの開発に成功したと発表した。機器の電源装置で生じる電力損失を3分の1以下に低減でき、ノートPCなどのACアダプタなら10分の1程度に小型化できるという。2011年ごろをめどに電源装置への適用を目指す。

 電源装置ではシリコン製トランジスタが多く使われているが、通電状態での電力損失(オン損失)と、通電−遮断状態を切り替える際の損失(スイッチング損失)が大きく、電源の電力損失のうち、トランジスタ関連が3分の1以上を占めているという。

 オン損失の低減には高耐圧トランジスタが効果的。窒化ガリウムHEMTならオン損失をシリコントランジスタに比べて5分の1以下に低減でき、スイッチング損失は100分の1以下と大幅に抑えられる。

 今回開発した窒化ガリウムHEMTは、独自の構造と新技術を導入することで、電源装置用途に適用できるオン電圧とオン電流密度を達成した。同社によると、電源用途で必要な性能を満たした世界初の窒化ガリウムHEMTだという。

 新トランジスタによる電源装置を国内データセンターの全サーバに適用すれば、発熱低減による空調の省エネ効果も含め、データセンターの消費電力を12%削減でき、年間33万トンの二酸化炭素削減効果が期待できるという。

 新トランジスタは高周波動作が可能なため、従来は困難だったコイルや変圧器の小型化も実現でき、ACアダプタやサーバ電源部の小型化による省スペース化につながるとしている。

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