Googleでは主力プログラマーを「Google Wave」や「Google Voice」といった製品の開発に専念させる一方で、Google Appsについては少しずつ機能強化を追加するという形で地道な改良を続けてきた。しかし最近行われた改良は、Microsoft Outlookのユーザーを大喜びさせるものだ。
Googleは6月9日、OutlookからGoogle Appsのメール、連絡先、カレンダーにアクセスすることを可能にする同期化ツール「Google Apps Sync for Microsoft Outlook」をリリースした。これに対して、Microsoftは1週間以内にGoogle Apps Syncツールの欠陥を発見した。これは、ユーザーがGoogle Apps SyncプラグインをインストールするとWindows Desktop Search機能が無効になるという不具合だ。Googleではこの問題の修正作業を進めている。
米eWEEKは6月23日、Google Apps担当シニアプロダクトマネジャーのラジェン・シェス氏に電話でインタビューを行った。同氏は「Enterprise 2.0」カンファレンスにおいてクラウドコンピューティングに関するパネルで講演するためにボストンに滞在中だった。
シェス氏は、Outlook同期化をめぐる問題やクラウドコンピューティングについて語った。Googleにとってクラウドとは、インターネット上でソフトウェアをホスティングし、企業が社内で運用するオンプレミス型アプリケーションに代わるものをユーザーに提供することを意味する。さらにシェス氏は、「Googleは企業アプリケーションの分野に進出するつもりなのか」という質問にも答えた。
―― Enterprise 2.0カンファレンスでクラウドコンピューティングに関して最も強く感じたことは何ですか。
シェス わたしはこの2年の間に、こういったショウに何度か参加しました。これまでと比べると、今回は非常に現実味が強く感じられました。2年前は、人々はクラウドというコンセプトについて考えていた段階です。出回っている製品をいろいろと試していたというのが昨年です。今年は、人々は非常に真剣になっており、企業は自社のインフラの主要部分をクラウドに移行することを検討しています。参加者に占めるベンダーとユーザーの割合が変化したのも興味深く感じられました。自社にクラウドを導入する方法を検討しているユーザーの参加者が大幅に増えたのです。
これは製品の成熟化、コンセプトの成熟化と関係があります。人々はクラウドを未来の技術ではなく、実用価値がある現実的な技術であると考えるようになってきたのです。とはいえ、人々はクラウドとは何かを理解するのにまだ苦労しているように思います。それは、インフラをクラウドに移行するといったことから、アプリケーションプラットフォームや完全クラウド型アプリケーションなど、この技術は非常に広範囲にわたるからです。
わたしの講演でも、この問題を取り上げました。すなわち、クラウドのさまざまな側面をどのように区別し、それらをどう位置付けるのかということです。一部の企業の間には、クラウドとはインフラに関するものであり、自社で現在保有しているものを仮想化し、それをほかの企業のインフラ上に置くだけだという誤解も見受けられます。それにもメリットはあるのですが、それだけでは不十分です。さらに進んで、自社でコードを開発し、それをGoogle App Engineのようなプラットフォームに配備することで、さらに大きなメリットが得られるのです。Google App Engineを利用すれば、データベースの配備やクラスタリングといったことを心配する必要がないのです。
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