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無塗装でマグネシウム合金をカラフルに 産総研が新技術

» 2009年08月31日 07時00分 公開
[ITmedia]
photo 条件を変えるとさまざまな色彩に

 独立行政法人・産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、電子機器の本体外装などに使われているマグネシウム合金に、塗料などを使わずに色を付けられる表面処理技術を開発したと発表した。低コストな上、リサイクルも容易になるという。

 フッ素樹脂製の密閉容器内に、超純水とマグネシウム合金を封入し、摂氏120度で2.5時間〜10時間おくと、合金表面に厚さ50ナノ〜100ナノメートルほどの微細構造体が形成される。微細構造体で起きる光の干渉によって色彩が生じる仕組みだ。

 微細構造による光の回折と干渉で色彩が生じることを「構造色」「干渉色」などと呼び、シャボン玉やモルフォチョウの羽、CDの裏面などが知られている。ステンレス表面を酸化処理し、色彩を生じさせたものも実用化されている。

photo 処理工程図

 3時間処理をした表面の反射率を測定したところ、波長250ナノメートル付近(紫外域)と400ナノメートル付近(紫色)にピークが確認できたという。処理の時間と温度を制御してより厚い膜を形成すれば、緑、黄、燈といったカラーにすることもできるという。

 新技術は、腐食性が高いというマグネシウムの欠点を積極的に利用した「逆転の発想」で実現した。塗料などを使わないため廃液処理などが不要な上、処理後の合金に不純物が含まれないため、リサイクルプロセスの省エネ化も期待できるとしている。

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