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» 2010年03月12日 19時32分 UPDATE

都が「青少年ケータイ」推奨・フィルタリング強化 青少年育成条例改正案 (1/2)

都の青少年育成条例改正案のネット関連の規定に対して「民間の取り組みを萎縮させる」と懸念する声が挙がっている。

[岡田有花,ITmedia]
画像 3月12日、業界団体関係者などが条例案に反対する会見を開いた

 東京都が都議会に提出した「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(青少年育成条例)の改正案に盛り込まれている、青少年のインターネット・携帯電話利用に関する内容について、業界関係者や専門家から懸念する声が挙がっている。改正案に「都が青少年のネット利用についての指針を定める」といった内容や、フィルタリングを厳格化するための規定が含まれるためだ。

 改正案は、都青少年問題協議会が1月14日に知事に提出した答申「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」を受けたものだ。答申では、フィルタリングされていないコミュニティーサイトなどで犯罪やトラブルに巻き込まれる子どもが増えているとした上で、フィルタリングの厳格化などが必要と提言している。

 改正案は3月30日に本会議で採決が行われる予定で、可決されれば、10月1日から施行される。都で施行された場合、全国に影響が広がる可能性もある(漫画・アニメの「非実在青少年」も対象に 東京都の青少年育成条例改正案)。

知事による端末推奨が可能に ネット啓発、都による指針策定も

 改正案では、都知事が携帯電話・PHS端末について、「青少年の健全な育成に配慮した機能を備えていると認めるもの」を推奨することができるという規定を新設した。

 「都は、青少年のネット利用に関する啓発についての指針を定める」という規定も、新たに盛り込まれている。

「被害を誘発することを容易にする情報」もフィルタリング

 現行の条例ではフィルタリングの対象を「青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報」と表現するにとどめているが、改正案ではさらに踏み込み、「青少年がネットを利用して自己もしくは他人の尊厳を傷つけ、違法もしくは有害な行為を行い、または犯罪もしくは被害を誘発することを容易にする情報」と定義。青少年がそういった情報を閲覧する機会を最小限にとどめるよう、ISPや通信事業者、フィルタリングソフト事業者に努力義務を課している。

フィルタリングを使わない場合、保護者は理由を書面で提出

 フィルタリングの実効性を高めるための規定も新設。青少年が使う携帯電話端末について、フィルタリングを外すと保護者が申し出た場合、その「正当な理由」を事業者に書面で提出しなければならないとしている。正当な理由は「東京都規則で定める」としており、例として、ログ閲覧サービスなどを使って保護者が子どものネット利用を監督することが挙げられている。

 事業者に対しても、フィルタリングの説明書を青少年や保護者に交付する義務などを課し、違反した場合、知事は必要な措置を勧告できると規定。知事が指定した職員は、「必要な限度において、事業所に立ち入って調査をしたり、資料の提出を求めることができる」としている。

保護者には、青少年のネット利用の把握・管理を求める

 保護者に対しては、(1)青少年にフィルタリングソフトを使わせること、(2)青少年のネット利用状況を把握・管理すること、(3)保護者自身も、ネット利用に伴う危険性などを知識の習得に努めること――を求めている。

 また行政機関は、青少年がネットを利用して自分や他人の尊厳を傷つけたり、違法・有害行為をしたり、犯罪や被害を誘発したと認めた際、知事に通報できると規定。知事は保護者に対し、(1)再発防止に必要な措置をとる、(2)指導・助言できる、(3)必要な場合は、説明や資料の提出を求めたり、調査できる――と定めている。

「民間の取り組みを後退させる」 業界団体など意見書提出

 改正案を受け3月12日、民間で携帯向けサイトの審査を行うモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)など関連業界団体が連名で都議会に意見書を提出した。

 意見書では、改正案が「憲法の保障する表現の自由、通信の秘密を侵害する恐れがあるばかりか、青少年ネット環境整備法(青少年ネット規制法)との齟齬(そご)がある」「地方行政の不当な制限により、学校や家庭、民間団体で進められている自主的な取り組みを後退させることになる」などとして懸念を表明。法律の範囲内での条例改正や、民間の組織や活動が認められる条例とすることなどを求めている。

 意見書にはEMAのほか、通信事業者の業界団体・電気通信事業者協会(TCA)、ITの業界団体・テレコムサービス協会、携帯向けコンテンツの業界団体モバイル・コンテンツ・フォーラム、ISPの業界団体・日本インターネットプロバイダー協会、EC関連のトラブルなどの相談を受け付けるECネットワーク、ネットやITを使った表現教育などを行うNPO・CANVAS、東京大学大学院の長谷部恭男教授、ネット教育アナリストの尾花紀子さん、東京都地域婦人団体連盟が名を連ねた。

 東京都地婦連はネットとの縁は薄いが、「第2次世界大戦に向かう空気を知っている高齢の会員も多い。表現の自由や通信の秘密は何より守りたいという考え」(地婦連事務局次長の長田三紀さん)で、意見書に賛同したという。

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