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» 2010年04月02日 16時41分 UPDATE

ELECTRIBEもハモンドもiPadアプリに 「楽器としてのiPad」は一気に開花するか

再び人気に火がついたKORG「ELECTRIBE」がなんとiPadアプリに。マルチタッチ対応の広い画面を備えるiPadは、iPhone以上に楽器として大活躍しそうだ。

[松尾公也,ITmedia]

 4月3日のiPad米国発売を前に、100を超えるiPad専用アプリが登場しているが、その中に日本の大手電子楽器メーカーであるKORG(コルグ)の「iELECTRIBE」というアプリがある。バーチャル・アナログ・ビートボックス「KORG ELECTRIBE-R」をiPad専用アプリ化したものだ。

 ELECTRIBEとはコルグが1999年に売り出したシンセサイザーで、2年ほど前にニコニコ動画やYouTubeで人気が再燃し、先日、一部改良した製品(SDメモリーカード対応)が発表されるなど、息の長い人気製品。ただし、その初代モデルであるELECTRIBE・R(ER-1)は生産が終了しており、中古以外入手することができない。その機能をiPadに実装してわずか1200円で売り出したのだ(6月30日までの特別価格で、通常は2300円)。(App Storeへのリンク

 執筆時点ではiPad自体が未発売。4月3日に米国で発売されるものの、日本での販売は4月末だ。

 App Storeでのアプリ説明によれば「iELECTRIBE」はオリジナルのELECTRIBE・Rの音源とシーケンサーを完全移植し、さらに全パート/パラメータのツマミの動きを記憶するモーションシーケンスを装備している。モーションシーケンスはオリジナルにはない機能だし、シーケンスの打ち込みに使うステップキー(画面下段)は、小節が進むにつれて数字が増えていく(実機では1〜16の数字がプリントされているが、アプリ版では「64」まで表示される)など、使い勝手はオリジナルに優るところも。

 この情報を知ったTwitterユーザーは、「iPad絶対買う」「iPadは買うつもりないんだけど欲しくなった!」「これはiPad買うしかないのか」「これだけのためにiPad買ってもいい!」「iPad買うよ」「iELECTRIBEが出る以上、iPad買うしかない気がしてきた」「これのためにiPadが欲しい」「iPad購入決定。DTM用途が充実しすぎ」「iPadの欲しさレベルが数段上がった」「iELECTRIBEの登場によって、俺がiPadを購入するのは確定的に明らかとなった」などとiPadへの強い購入意欲を示している。分野限定ではあるが、iPadのキラーアプリとなりそうな勢いだ。

 KORGは公式Twitterアカウント「@iELECTRIBE」を開設し、YouTubeにプレビュー動画も投稿している(実機ではなくシミュレータ)。

 iELECRIBEが実現した背景としては、画面が広くなり、数多くの部品をディスプレイに配置できることと、iPadが持つマルチタッチ機能が大きい。さらに、「DS-10」(ニンテンドーDS用ソフト)で、アナログシンセサイザーのソフトシンセ部分をゲーム機に提供している実績を持つコルグにとって、iPadプラットフォームは性能面でさらにアドバンテージがあるはずだ。

 iPhoneではもともと楽器系アプリが充実している。アナログシンセ、FM音源、サンプラー、ピアノ、リード系、アンビエント、DJ、ギターなど多くの分野を網羅しているが、画面の小ささから本格的音楽ツールと見られることはあまりなかった。それがこれからは変わりそうだ。

 iPhone向けにハモンドオルガンをシミュレートするアプリ「Pocket Organ C3B3」というアプリが出ているが(350円)、これもiPad版で画面を大型化し、本格的に使えるオルガンアプリと変身する(App Storeへのリンク)。

 iPhone版では鍵盤のコードを押さえることが至難の業だったが、iPad版では楽にコードを弾き、狙った音を出すことができる。ハモンドオルガンに特有のドローバーをマルチタッチにより複数同時操作して音色を変化させつつ鍵盤を弾くことが可能なのはiPadならではだ。このアプリの開発は、iPhone用ギターアプリのPocketGuitarを世界的なベストセラーにした笠谷真也氏が担当。企画の山崎潤一郎氏は、メロトロンを再現した別の楽器アプリ「Manetron」のiPad化も進めているという。

 ソフトシンセメーカーとして有名なIK MultimediaもiPad版アプリをリリースしている。既にiPhone向けに出しているGrooveMakerのiPad版だ。画面の広さを活用し、iPhone版にはなかったミキサーを入れたりして、価値を高めている。App Storeにはこのほかにも数種類のDJアプリが並んでいる。

 ピアノアプリとしてはiPhone楽器アプリの老舗MooCowMusicからPianist Proが、日本のユードーからピアノレッスンアプリのPianoManがラインアップされている。デベロッパーやメディアからの情報によれば、このほかにも多数の楽器アプリが登場する予定だ。

 ハードウェアの楽器と違い、ソフトウェアならば新しいアプリをどんどん追加していくことができ、価格が安いこともあって市場飽和しにくい。製造停止になったハードウェアもアプリ化することにより新たな収入源にすることもできる。Twitter上にはローランドのリズムマシン「TR-808を」、ベースマシン「TB-303を」と往年の名機のiPad版を望む声も出ている。いずれもPC上でソフトシンセ化されているものだから不可能なことではない。

 サンプラーの老舗であるAKAIはiPhoneを組み込んだMIDIキーボードとアプリを発表するなど、iPhoneアプリ市場に積極的に切り込もうとしている。そこへKORGという大手ハードウェア楽器メーカーの参入。「楽器としてのiPad」市場は一気に開花しそうだ。iPadを購入する動機が電子書籍ではなく、電子楽器だという人は案外多いのではないだろうか。

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