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メイソンCEOが語る「Groupon 2.0」と「成功の秘訣」IVS 2010 Fall

» 2010年12月13日 16時07分 公開
[高杉貴,ITmedia]

 2010年12月7〜8日、京都市内のホテルで「Infinity Ventures Summit 2010 Fall Kyoto」が開かれた。オープニング直後のセッションでは、“世界最速成長ネット企業”とも言われる米Grouponのアンドリュー・メイソン創業者兼CEOが、25分弱Skypeを通じてシカゴの自宅から講演、創業の経緯や今後の方針などについて語った。モデレーターを務めたインフィニティ・ベンチャーズLLP共同代表パートナーの田中章雄氏との軽妙なやり取りに、ベンチャー企業のCEOや役員など約500人の参加者が沸いた。近い将来の中国やインドへの進出も示唆するなど、あくなき成長戦略を示した。

 日本については、メイソンCEOの講演後、グルーポン・ジャパンの野田臣吾執行役員COOが驚異的な日本法人の成長の軌跡について説明した。

会場500人の半数以上がグルーポンの顧客

photo すごく暗い所にいたメイソン氏

田中「アンドリュー、すごく暗い所にいますね。地下か何か。古い建物なの?」

メイソン「元々は倉庫だったところを家にしました。15平方フィートくらいかな」

田中「今、僕らは京都にいるよ。500人くらいのネット企業のCEOや経営陣がいるんだ。パソコンをこうすると……(参加者のほうに向ける)」

メイソン「こんにちは」

田中「Grouponを使ったことある人?(ぞろぞろと会場から手が上がっていく)半分以上の方が顧客なわけですね。いいですねぇ」

メイソン氏「ありがとうございます」

ミュージシャンからソフトウェア開発、そして起業へ

photo メイソン氏(8月の来日時)

田中「アンドリューってどんな人なの。よく聞かれるんだよね」

メイソン「身長3インチ、ボトルくらいに入っちゃう……っていうのは冗談で。音楽をやっていて断念して、ソフトウェア開発に転職して、アイデア思いついて起業家を集めて会社をつくりました」

田中「音楽は何をやっていたの?グルーポンを作ったのは良かった?」

メイソン「いろいろやったよ。ピアノがメインかな。世界的に考えると(僕ぐらいのレベルではお客さんがお金を出して)聞いていられなかったと思うんだよ」

田中「元々はThe Pointってサイトを始めたんだよね」

メイソン「我々にはたくさん顧客がいた。(それで、企業側ももうかるはずだから、)大きな割引をしてよっていう感じだったんだ。一方で、もっと大きなプラットフォームを作って、寄付金集めや選挙などにも使うようにしたいって思うようになったんだ。シカゴより外へ、もっとほかのサービスでも活用したいって思うようになってPointを抜けたんだ。はっきり言ってPointはうまくいってなくて、人を集めていろいろキャンペーンをやってみようと考えたんだ。」

メイソン「最初は実験でいろいろ売ったよ。手作りガーターベルト。スポーツもできるよって触れ込みでさ。他にやったのは生きたままのハムスタースリッパとか変なのも…」

田中「ガーターベルトは君のアイデアだったのかい(笑い)」

メイソン「違うよ(笑い)」

Groupon 2.0とは何か

メイソン「最近始めたGroupon 2.0を簡単に説明したいんだけど。これまでのリクエスト型からカタログディールにするってことかな。顧客は初め、1つの商品しか見ないけど、性別や場所や年齢を入力することで個人個人にあったGrouponが広がるんだ。また、(ワンデイワンディールとは別に)マーチャント(クーポンを発行する主体となる会社)が自分でGrouponサイトを作れるようにもしたよ」

田中「アンドリューの住んでいるシカゴはギャングとか違法ドラッグとかあったこともあるんだろうけど、そういった問題への対処はどうするんだい」

メイソン「そういったことが起こると楽しいよね、って言うのは冗談。真面目な話、サイトの安全性は重要だよ。セルフサービスのGrouponストアでも1件1件大切にチェックするようにしている。アルゴリズム作りとかも強化して、ディールをきめ細かく監視する体制をつくっているよ。こんなに話ができて楽しく思うよ」

成功の秘訣は努力・我慢・辛抱

メイソン「最後にみなさんにお話ししたいことがあるんだ。成功した秘訣なんだけど、『努力・辛抱・我慢』だと考えている。いつもホームランを打つために仕事をしているんだ。ビジネスのやり方を完全に変えたいとも思っている」

田中「(来年)5月には札幌でやるから今度はぜったい来てよね」

田中「ここで会場からの質問を受けたいと思います。ただし『G』以外の質問でお願いします(グーグルによる買収騒動に関する質問を控えるようにと暗に指示したものとみられる)」

グルーポンは地域密着型に照準

──これからの中国・インド市場についてどう考えているか(インドから来日して20年という男性)

メイソン「近い将来出ていく考えだ。ただちょっと難しいことがある。どう立ち向かうか戦術を考えないと」

──近い将来っていつ?

メイソン「1年後というか2年後というか。そういったことはまだわからない」

──じゃ、私の会社と一緒に進出して私の会社が買収するってのはどう(笑い)

(日本人から質問の挙手がないのを見て)田中「この会場には日本人の方はいないのですか。なんちゃって日本人ばかりですか」(会場から笑い)

──広告モデルはバナーや検索サーチから変わっていますが(ヤフージャパンからジンガジャパンに転職したという男性)

メイソン「これまでの広告は商品やサービスを消費者に見せるところどまりだったが、その商品やサービスを買いたいと望む購入者を呼びこむ形に変化させた。本物の顧客を捕まえることができるんだ。露出だけにお金を払っている状態から、顧客を引きこむところが見える。サイトをクリックしてもらうのはGrouponにとっては目的の半分で、お店に実際にお客さんが入るのがいい。アメリカではこういう特徴が受けて人気になったんだ」

──Grouponにはどんな商品が向いているのですか

メイソン「地域の商圏で頑張っているネットやECを使っているお店だね。ネットビジネスを促進できるようにいろんなツールを用意して、もっと地域の商圏で頑張っているお店に使っていただきたいな」

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