光山社長は「自分のサービスを作りたい」という思いから、携帯サイトの受託開発などを手がける企業を辞め、05年3月にミツバチワークスを設立した。サービスのネタは起業時に思いついていた訳ではなく、当初は受託開発をしながら、自社サービスを作るための資金を貯めたり、開発体制を整えたりしていた。
06年にリリースした携帯SNS「acbi」は初の自社サービス。だが公開前に作り込みすぎたためか、「わけのわからないサービス」になってしまい、思うように流行らなかった。07年2月に公開したDECOLOGは、acbiのシステムを流用し、1〜2カ月で開発。とにかく公開してしまい「あとはユーザーの要望に合わせて柔軟に変えていけばいい」と考えていた。
携帯ブログとしては後発だが、それでもあえて参入したのは、ほかのサービスが「どれもこれもかわいくない」と感じていたから。同じような思いを持つ女性ユーザーは多いのでは――と考えた。
光山社長が言う、ほかのサービスの「かわいくない」ポイントは、例えば広告だ。「若い女性が凝ったデザインの携帯サイトを作っても、エロ漫画の広告が付いて『あはん』「うふん』とか書いてある。嫌だけどしょうがないから使っているんだろうなあと思った」。
サイトの文字サイズにも「かわいくない」ポイントが隠されているという。「携帯サイトって文字が小さくて、きゅっと、くちゃっとしている方がかわいいのに、全部大きな文字になっていたりして……」と、“女子の不満”を代弁する。
DECOLOGが目指したのは、おしゃれでかわいい携帯ブログを簡単に作れること。あらかじめ用意されたスキンから選んでブログデザインを決めるような「お仕着せ」ではなく、ユーザーの手でデザインをどんどんカスタマイズしていけるよう、DECOLOGの仕組みを生み出した。
かわいさ、おしゃれさを追求するDECOLOGでは、ページのデザインを大きく邪魔するような場所――ブログトップページ上部など――には広告を掲載しない。掲載するのはブログ記事の下部分や管理画面だ。出会い系やアダルト、コンプレックス商材など、若い女性が好まないであろう内容の広告を掲載しない方針もとっている。
DECOLOGオープンから1年間は「全然ダメ」な状態だったという。1日に3人でも会員が増えれば良いほうで、新規会員がゼロの日も多かった。DECOLOGでどうやって食べていけばいいのかと悩む日々だった。
社員数20人の企業に成長した現在は、受託開発をやめ、DECOLOGなど自社サービスの運営に集中しているが、当時は受託もしながらだったため「どっちつかずになっていた」とも。いっそのことDECOLOGをどこかへ売却してしまおうか、でも愛着があって諦めきれない――そんなふうに迷っていた08年4月ごろ、5人、10人と会員の増加ペースが加速し始めた。
きっかけと思われるのは、岡山県に住んでいた一般の女子高生のブログだ。受験勉強の日々、将来の夢、家庭や恋の悩みなどをつづった内容で、多くの共感を得て、アクセスランキング上位の常連に。そのブログの人気に引っ張られるように、DECOLOG全体のPVもぐんぐん増えていき、現在までほぼ右肩上がりが続いている。
その女子高生の周囲に口コミで広まったためか、いまも会員は、兵庫県や大阪府など岡山県周辺に多い。地域別の割合は関東が15%にとどまっているのに対し、近畿は39%と倍以上。北海道・東北は3%、東海は10%、中国・四国は10%、九州・沖縄は20%となっており、現在は福岡県や愛知県で特に伸びている。
その女子高生はすでにDECOLOGを退会しており、ブログを読むことはできないが「内容がとても良いブログだった」と光山社長は懐かしむ。
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