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» 2011年08月17日 13時50分 UPDATE

「自分が使いたいものを、ピュアな気持ちで」 家計簿アプリ「Zaim」を開発した閑歳さん (1/2)

ソーシャル機能を持つ家計簿アプリ「Zaim」を個人として開発した閑歳孝子さんは、MacBook Proを駆使して通勤電車内でもコードを書く。「プログラミングは編み物に似ているので、女性に向いている」という。

[榊原有希,ITmedia]
photo ソーシャル機能を持つZaim

 TwitterやFacebookと連動するソーシャル家計簿アプリ「Zaim」(ザイム)がヒットしている。7月19日にiOS版がリリースされた直後にAppStoreのファイナンス部門で1位にランクイン、4日間で1万DLを突破した。開発したのは、気鋭のエンジニアとして注目を集める閑歳孝子さん(32)。アクセス解析ツールを手がけるユーザーローカルの社員だが、今回は個人としてサービスを立ち上げた。「ピュアな気持ちで作りました」という閑歳さんに、開発の舞台裏を聞いた。

 Zaimの特徴は、「簡単」。まず1カ月の予算を決め、お金を使ったら項目ごとに金額を入力していく。何にいくら使ったかなどをTwitterに書き込んだり、飲食店などの位置情報にひもづけてFacebookに投稿したりできる。他のユーザーと支出を比較することも可能。1つのアカウントを家族で共有できるのも、ユーザーには好評だ。日本語版と英語版で19種類の通貨に対応している。

 「今までユーザーローカルでいくつかサービスを作らせてもらってきて、とても満足しています。主にアクセス解析ツールを開発してきて、企業のマーケティング担当の方やインターネットが好きな人たちに少しでも役立つものを、と頑張ってきました。でも、特にインターネットが好きでもなく関わりも薄い大多数の人たちには、自分のサービスはまだ届いたことがないなと思うようになって……。Webを知らない、iPhoneを買ったばかりのおばさんにも、『あら便利だわ』と使ってもらえる、個人向けのサービスを作りたかった」と閑歳さんは話す。

 Zaimの開発にあたっては、アプリの操作に慣れていない初心者にも分かりやすい設計を徹底した。まずは、「最初の登録を完了してもらえるよう、とにかく工夫」。丁寧なナビゲーションに従って登録を終えれば、最初の「スタンプ」が発行され、使えば使うほどたまるといった、ゲーム的な楽しみ方も提供した。

photo 閑歳孝子さん

 決してユーザー視点を崩さない姿勢は、その珍しいキャリアに由来する。大学では学内SNSを友人たちと立ち上げるほどのWeb好きだったが、卒業後は出版社に就職、記者として働いた。しかし、28歳の時に「サービスを作りたい」とエンジニアへと転身、Webの世界に飛び込んだ。「昔からWebが好きでしたが、後天的に技術を覚えた。ちゃんとしたエンジニア教育を受けていなかったので、いつも自信のない部分があります」。その謙虚さが、ユーザー側に立った開発につながっている。

 「今の自分にとって、誰にでも使ってもらえるサービスを作ることは、良い問題設定でした」。エンジニアとして一歩進むため、昨年末にZaimの開発を思いつく。「ずっと家計簿はつけていたので、自分で使いたいアプリを作りました。これまで、他にも家計簿アプリはありましたが、foursquareやロケタッチなど位置情報系サービスと連動できなかったり、クレジットカードを全種類登録させるなど設定が細かかったり。使い込めば便利だとは思うのですが、初心者には“マッチョ”に見えそうなアプリばかりでした」

 サービスを開発する際、心がけていることがある。「いつも上司に、8割の人が満足してくれるものを作れと言われています。日本製のサービスやプロダクトにありがちですが、ユーザーの声を100%聞こうとすると、高機能だけど、とても複雑なものができあがってしまう」。その結果、8割のユーザーには、使いづらいものに。例えば、Zaimには食費や光熱費といった項目は固定され、ユーザーが変更することはできない。作りを単純化するために削られた機能だ。それが、「8割の人が満足するサービス」でもある。

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