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児童ポルノ所持禁止、京都府の新条例案 ダウンロードも刑事罰対象に

» 2011年09月15日 18時22分 公開
[ITmedia]

 京都府は、18歳未満の児童のポルノ画像の所持を禁止する「京都府児童ポルノの規制に関する条例」案(仮称)を9月21日に開会する定例議会に提案する。児童ポルノの所持を禁止し、所持している場合は知事が廃棄を命令できる。13歳未満の児童が写った児童ポルノを購入したり、ネットでダウンロードする場合も刑事罰の対象としている。来年1月からの施行を目指している。

photo 条例案についての意見募集結果を報告する京都府Webサイト

 条例案では、児童ポルノについて「何人も、正当な理由なく、児童ポルノを所持したり、児童ポルノに係る情報を記録した電磁的記録を保管してはならない」と所持禁止を明文化。「知事は、児童ポルノを所持したり、当該児童ポルノに係る情報を記録した電磁的記録を保管する者に対して、当該児童ポルノの廃棄又は当該電磁的記録の消去を命じることができる」と、写真や画像データの所持者には知事が廃棄を命じることができ、従わない場合は30万円以下の罰金を科すことができる。

 また児童ポルノの取得も禁止する。取得の場合は、児童ポルノのうち13歳未満の児童が被写体だった場合に限り、購入したり、ネットでダウンロードした人に対して1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。

 ダウンロードや購入などの取得については、過去の取得については罰せず、条例の施行以降に取得した場合が規制の対象になる。だが所持の場合は条例の施行日から禁止される。「現在児童ポルノを持っている人は条例が施行される日までに自ら廃棄する必要がある」という。

 児童ポルノ所持が明らかだった場合、警察からの情報提供に基づいて府が立ち入り調査する場合があるという。「児童ポルノ法の捜査過程で、廃棄命令の対象となる児童ポルノが発見され、個人情報保護の観点からしかるべき措置が講じられた上で、京都府警から京都府に対し情報提供があった場合について行うことを想定している」という。

 デジタルデータの廃棄は本人の同意を得た上で、本人立ち会いのもと実施するという。PCやDVDの場合は消却や粉砕などいよる完全廃棄か、児童ポルノ部分の一部加工・消去で行う。単なる削除ではデータが復元可能な場合があるため、専用ソフトによる上書き消去を考えているという。

 条例案でいう「児童ポルノ」は児童ポルノ禁止法の定義に準じており、漫画・アニメなどの創作物は含まれない。条例は「児童の権利を擁護することを目的」としており、「実在しない児童の姿態を描いた漫画やアニメ等の二次元の表現物は児童ポルノに当たらず、条例の規制は及ばない」と説明している。

 条例制定の背景として、「京都府を含め全国で児童ポルノ事犯が増加傾向にあり、極めて憂慮すべき状況にある」と説明。「何よりも日本の歴史と文化の中心地としての責任を果たすためにも、率先して「児童ポルノを絶対に許さない」という決意を示していく必要がある」という。

 条例案について、8月中旬に府民から意見を募ったところ、「単純所持の規制は児童虐待に対する効果も見込めず、表現の自由など憲法違反にならないか」といった指摘があった。これに対し府は「現に児童ポルノによる被害を受けている児童が京都府内にも存在していることから、現在、法規制のない取得・所持についても条例で規制を行う必要があると判断した」と回答している。

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