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» 2011年11月08日 19時56分 UPDATE

2次創作がコンテンツの寿命を延ばす──角川会長と川上会長が話す、ネット時代の電子書籍 (1/3)

角川とニコ動が手を組んだ電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」の公開に合わせ、角川グループホールディングスの角川歴彦会長と、ドワンゴの川上会長が対談。電子書籍や著作権、Amazonの動向などを語り合った。

[ITmedia]
photo 角川会長(右)と川上会長

 角川グループとニコニコ動画が手を組んだ電子書籍サービス「ニコニコ静画(電子書籍)」の公開に合わせ、角川グループホールディングスの角川歴彦会長と、ドワンゴの川上量生会長によるトークセッションが開かれた。誰でもコメントを投稿できる時代の電子書籍や著作権、日本で電子書籍を販売したいAmazonの動向などを語り合い、ライブ配信したニコニコ生放送には約1万7500人が来場した。

提携のきっかけは

 角川グループとドワンゴは約1年前に包括的な業務提携を発表。角川の電子書籍プラットフォームとニコ動を連携させる計画を明らかにした。

 提携について、角川会長は「週刊アスキー(アスキー・メディアワークス)の1000号記念で表紙を全部集めた時に、アニメ表紙の号があって、できが良かった。初音ミクの表紙もあり、初音ミクはニコ動だから、ニコ動とやったら面白いハーモニーができるのではないか」と角川側から持ちかけたことを明かした。

 川上会長は「角川グループのアニメなどはニコ動になくてはならない、勝手に使っていたコンテンツ(笑)。色んな出版社がある中で、角川グループと一緒にできたのは良かった」とした。

2次創作がコンテンツの寿命を延ばす

photo ニコ動のように電子書籍にコメントを付けられる「ニコニコ静画(電子書籍)」

 ニコニコ静画(電子書籍)では、角川グループが運営する電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」のコンテンツの一部を閲覧できるほか、角川グループの人気コミック毎週無料で楽しめるWeb漫画誌「角川ニコニコエース」を配信する。電子書籍には、ニコ動でおなじみのコメントを電子書籍にも入れる機能を備えているのが特徴だ。

 川上会長は「電子書籍ではAppleとAmazonが有力と言われている。これは持論ですが、ネットでコンテンツを売っていく時、利用法をユーザーが選べないとダメだと思う。楽しみ方を決めるのはよくない。どこで買ったものでも、ユーザーが持っているもので楽しんでくださいという」と述べ、「販売プラットフォームを作るのではないく、コンテンツを楽しむプラットフォーム」を目指していく考えだ。

 進行役を務めたメディアジャーナリストの津田大介さんが「アーティストがライブで盛り上がるように、ネットで本で盛り上がるのは物書きにとってはライブだと思う」と話すと、角川会長は「『ソーシャルリーディング』の本質はそこにあるのでは。作家の場合、出版社のマーケティングってサイン会くらいしかない。対面のアナログなものもいいけれど、それだけでは足りないと思っている人も多い」と、ニコニコ静画(電子書籍)の取り組みを作家の側も歓迎してもらえるのではと期待した。

photo 角川会長と川上会長の対談が無料公開されており、角川会長は自らコメントで注釈を付けている

 川上会長は「ニコ生の人気番組だと10万コメントくらいついて(そのうち『w』もかなり多いが)、Twitterでも数千とか1万とかコメントがついていて、多過ぎてとても読めない。Twitterはそれだけツイートが多いと検索しても翌日には引っかからなくなる。コメントをする場所は増えているが、コメントしようと思うとオープンなプラットフォームがない時代が来ている。でもコメントで感想が欲しいじゃないですか。それはコンテンツホルダーが求めるべきであり、コメントも含めた形でコンテンツになる」と話し、ユーザーの反応も含める形で新しい「コンテンツ」が生まれてくるとした。

 「コンテンツは引用されればされるほど新しい情報になる。コンテンツ自体は1年前かもしれないが、その引用は昨日されたものだったりする。初音ミク関連コンテンツの投稿は終わる気配がないが、それは2次創作が拡散しているから。ネットの普及でコンテンツの寿命は短くなってきているが、唯一、それを長く伸ばしているのは2次創作だ。それにはコンテンツの改変だけではなく、コメント投稿という行動も含まれる。それらを取り込んでいくことでコンテンツの寿命は長くなる」(川上会長)

 角川会長も「作家の作品を改変してはいけないという考え方は人類の歴史でここ100年くらい。それ以前、例えば口承の物語はその場で取り入れて変化していくものだった」と応じ、「グーテンベルクの活版印刷技術を経て生まれたものがコピーする権利(copyright)である著作権で、そこを触ってはいけないと言われるようになったのがここ100年だが、もう1回触れるようにしてもいいのでは。作家のクリエイティブ性を落とすものではないと思う」とした。

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