「新感覚ランキングサイト」をうたう「ベストマニア」に投稿されている、一般ユーザーによる音楽やゲームのおすすめ「Best3」の内容に意味不明なものが散見され、一部のネットウォッチャーが楽しんでいる。投稿すると50%の確率でギフト券をプレゼントするなどの太っ腹キャンペーン効果で投稿数が伸びているもようだが、こうした手法に批判的な声もある。
同サイトはリクルートの新規事業提案制度からスタートし、同社が出資するエモーチオが運営。「本・マンガ」「音楽」「映画・DVD」「ゲーム」の4ジャンルについて、一般ユーザーからおすすめの「Best3」を投稿してもらう「新感覚ランキングサイト」をうたっている。ランキングに表示されているBest3の商品をたどると、Amazonへのアフィリエイトリンクが設定されている仕組みだ。
オープンから1カ月がたち、多くの人気を集めるランキングがある一方で、意味不明なものや突っ込みどころが多いランキングも投稿されている。
つまらない日常を素晴らしい景色に変えてくれたマンガBest3!には「MASTERキートン」「幽々白書」「8マン」が並んでいる。これはあくまで主観と言えるが、MASTERキートンの説明には「国民的漫画であり、アニメーションの『ドラゴンボール』です。アニメしか知らない方には是非読んで頂きたいのですが」という説明が。8マンには「『カードキャプターさくら』などでおなじみ、CLAMP先生の作品」という、何かが間違っているとしか思えない意味不明な解説が付いている。
また「今話題の狩りゲームがやりたい方にオススメするゲームBest3!」は「そのまんまだろ!」というモンハンな内容な上、ソフトの説明には「ゆるゆりには、たまに謎とも思えるギャグが混ざっていて、そこも見ていて楽しい要素と言えましょう」とあり、「そりゃ狩りじゃなくて百合だよ!」と突っ込みたくなる。こうした、Best3アイテムと説明が一致していないランキングは散見される。
「とても世の中で質量などに関することなどは重要なものだと思いますBest3!」という微妙なタイトルの投稿で取り上げられている物理学の本の紹介文には「非常に物体などの質量などを測ったりするために必要なことなどを書かれている本ですから、いろいろと為になるようなことがたくさんあります」とあり、日本語がややヤケクソ気味だ。「COPCOMが発売したゲームで、これは遊んでおきたいゲームソフトBest3!」は「CAPCOMだろ!」と突っ込んでおきたい。
「少年の心をいつまでも保てる漫画が盛りだくさん!大人が読んでも面白い週刊の漫画雑誌Best3!」では「少年ジャンプ以外は青年誌じゃん!」と言いたくなるし、「読書がすき、ロシア文学に興味のある人にオススメ、ロシアの文化や人文を知ることができる、分厚くて内容が多くて暇な主婦にもオススメするロシア文学Best3!」で取り上げられている「イワンのばか」は「文庫本で200ページだよ!」と読んだ人なら叫ばずにはいられない。
もちろん「ムゲンライガーやヴォルケーノの並の良キットを多数開発していれば、ジェネシスはさらによかったと思うBest3!」といった、かなりのマニアが作っていると思われる良ランキング? もあるが、内容がほとんど同じランキング(これとこれ)など、濫造気味になっている。
同サイトはオープン以降、投稿数に応じてTポイントをプレゼントしたり、「投稿すると50%の確率で200円分のAmazonギフト券をプレゼント」するキャンペーンを展開してきた。Amazonギフト券キャンペーンはいったん終了したが、11月4日に再開。金額は100円に減らしたものの、投稿すると50%の確率でもらえるのは同様だ。
ある掲示板ではこのキャンペーンに関連するスレッドが続いており、「今日は250個作った」「1日2000円がやっと」「今日は不調だ」とユーザーが情報交換している。Yahoo!知恵袋でも「稼げてますよ!」というやり取りが交わされていた。「反省会」スレッドでは10月中のキャンペーンについて「3万ちょい」「4万」といった「稼いだ額」や当選率などが報告されている。
キャンペーンでは「スペース、改行を繰り返し入力する行為」「同じ文字を繰り返し入力する行為」や「システム・プログラムetcを使った連続的又は同一又は類似的内容の投稿」などを禁止しているものの、人力によって大量に投稿されている面もあるようで、反省会スレッドでは「wikipediaにあった映画監督一覧の上から順番にテケトーに書いてた」という“手法”なども紹介されていた。ただ、投稿されたランキングを運営側がNG判定するケースも多いようで、不正対策には手を焼いたようだ。
運営するエモーチオによると、10月4日の運営開始から2週間でコンテンツは10万を超え、「非常に好調な出足」という。開始後にリクルートが2億円を出資するなど、資金は豊富な様子。5年間で1000万コンテンツを当面の目標に「着実にコンテンツを充実させていく」という。
オープンから一気に攻勢をかけるのはリクルートらしいスタイルだが、あるネット関係者は「誰の投稿を信じていいか分からないサイトになってしまっている。Wikipediaから自動生成したページもあるなど、全体的にコンテンツの質に問題があるように見える」と問題点を指摘。「PVや投稿数などを目標にしすぎて本質を見失った例として、今後のWeb業界にとって教訓になると思う」とコメントしている。
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