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「絶対便利じゃないですか」――本の内容まとめて公開「ブクペ」の狙いと“著作権”(1/3 ページ)

» 2012年02月03日 10時00分 公開
[本宮学ITmedia]
photo 「ブクペ」

 誰かが2000字以内で要約した“本のまとめ”を無料で読める――そんな“ソーシャルリーディング”サイト「ブクペ」が静かな人気を呼んでいる。まとめの数は、2月1日現在で約2500件。月間20万人のユニークユーザーが、日々増えるまとめを読みにサイトを訪れているという。

 まとめられている本の種類は実用書から漫画までさまざまだ。特にビジネス書の人気が高く、中には10万PV以上読まれているまとめもある。ユーザーは気に入ったまとめをソーシャルメディア上で共有でき、人気のまとめには1000以上のツイートや5000以上のはてなブックマークが付いている。

photo 鳥羽さん

 「だって絶対便利じゃないですか」――こう話すのは、運営元であるブクペの社長、鳥羽悠史さん(28)。鳥羽さんは転職活動中に「要点を抜き出しながら本を読む」という読書法に出合い、「自分以外の人のまとめも読んでみたい」「いろいろな本のまとめをネット上で読めたら絶対便利」という思いで2011年2月に運営会社を起業。同年4月、一念発起でブクペを立ち上げた。

 現在の月間アクセス数は約50万PVと、目標としている1000万PVにはまだ遠い。だが「本の需要は絶対になくならない。時間はかかるかもしれないが、うまくプラットフォーム化すれば必ず収益化できる目算がある」と鳥羽さんは自信を見せる。

読者とまとめ作成者の両者にメリットを

 鳥羽さんによれば、ブクペには2通りの使い方があるという。まずは未読の本の内容をブクペで確認するというパターン。もう1つは、実際に本を読んだ後にまとめを読むというパターンだ。「自分が読んだ本について『他の人はこういうふうに思ったんだ』とか『自分が注目しなかった部分に注目している』とか、そこを見るのが実はすごく楽しい」

photo 人気のまとめには多数のツイートやはてブが寄せられる

 まとめにはAmazonや楽天のアフィリエイトリンクが張られており、ユーザーはまとめを見て気になった本を即座に注文できるようになっている。「まとめ経由で200〜300冊ほど本が売れることもある」と鳥羽さん。ユーザーの利便を図るとともに、こうしたアフィリエイト収入がブクペの主な収益源になっているという。

 また、まとめ作成者にもメリットがあるという。ユーザーはTwitterアカウントやメールアドレスでログインしてまとめを投稿すれば、閲覧数や総投稿数などに応じてアフィリエイト収入の5〜7割を得られる仕組みだ。送金には楽天の「かんたん振込(メルマネ)」を使用している。

 「例えば1つのまとめが1万PVほど閲覧されれば、作成者はだいたい500〜1000円ほどもらえると思う。まとめ経由で300冊くらい本が売れた時は、1万円ほど払ったこともある」と鳥羽さん。こうしたインセンティブ機能でまとめ制作者のモチベーション向上につなげている。

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