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「“共感消費”を生む」――mixi×DeNAのソーシャルコマース「mixiモール」オープン

» 2012年03月21日 15時14分 公開
[ITmedia]
画像 「mixiモール」PC版トップページ

 ミクシィとディー・エヌ・エー(DeNA)は3月21日、SNS「mixi」内で、洋服や書籍、CDなど約350万点の商品を検索・購入できる「mixiモール」をオープンした。商品を軸にマイミク同士のコミュニケーションを活性化し、ユーザーの交流強化と売り上げアップにつなげる「ソーシャルコマース」を本格的に展開する。

CD・DVDショップ「HMV」、眼鏡の「JINS」、女性向けファッションブランド「CECIL McBEE」(セシルマクビー)、家電の「Joshin」、本の「ヴィレッジバンガード」など1500店舗が参加。ユーザーは、「レディースファッション」「グルメ」「本・雑誌・コミック」といったジャンルごとに商品を探したり、キーワードで商品を検索・購入できる。

 商品ごとに、「もってる!」「きになる!」ボタンを設置した。クリックすると、友人のフィードやmixiモールトップページにその情報が流れるため、気になる商品を友人に伝えられる。商品ごとにコメント欄もあり、友人同士でコメントを付け合って交流することもできる。


画像 青春タイムライン

 DeNAのオークション&通販サイト「ビッダーズ」のノウハウを活用し、店舗はビッダーズのインフラ経由でmixiモールに出店する仕組み。各商品ページには、販売店のmixiページに遷移するバナーを設置し、ユーザーと販売店との交流も支援する。

 商品の決済は、クレジットカードや代引きなどから選べる(販売店によって異なる)。PC、スマートフォン、携帯電話で利用できるが、「モバイルをメインのマーケットとして見ている」(ミクシィ ユーザーサービス本部コマース部長の川岸滋也さん)という。

 21日からHMVと共同でオープン企画「青春タイムライン」を展開。ユーザーの生まれ年以降のCDヒットチャートを時系列で表示し、友人に見せたりコメントを付け合ったりできる。

「共感消費」――友達とウィンドウショッピングするような感覚で

 企業の公式FacebookページやTwitter、mixiページなど、SNS上の情報発信や交流を商品の購買につなげる「ソーシャルコマース」が注目を集めているが、「ソーシャルで商品情報を発信するだけでは、売り上げにはつながりにくい」と、川岸さんは指摘する。

 その理由は、(1)SNSはあくまで、ユーザー同士のコミュニケーションの場であり、購買の場ではない、(2)SNS上で物を買う必然性がない、(3)企業の公式ページにユーザーが集まる仕組みがない――ため。SNSで公式アカウントを運用するには人手が必要でコストもかかるが、コストに見合う効果を出すのは難しい。

 国内の大手通販サイトは従来から「mixiいいね」や「mixiチェック」ボタンを設置し、気になる商品を友人とシェアできるようになっていたが、ボタンのクリック率は低いという。「通販サイトにソーシャルボタンを置くのは、一般論として、失敗だったと思う。SNSのユーザーは、ソーシャルグラフの外ではアクションしない」と、DeNAショッピング統括部長の中島真さんは話す。

画像 mixiモール概念図。「欲しい」「いいね」「Like」といった完全肯定の表現ではなく、「もってる」「きになる」という守備範囲の広い言葉を採用。気軽にクリック・交流してもらう狙いだ

 「mixiモール」は、SNS上の企業アカウントで情報発信したり、SNSの外にソーシャルボタンを置く従来のソーシャルコマースとは異なり、SNS内に商品ページを置き、ボタンやコメントで交流を促すことで、商品をユーザー同士のコミュニケーションのハブにする狙い。友達とのウィンドウショッピングのように、商品を軸に会話が生まれる場にしたいという。

 マイミクに紙の年賀状を送れる「ミクシィ年賀状」や、mixi上の友達にメッセージやバーチャルなケーキなどを贈れる「mixiバースデー」も、マイミク同士の共感を軸に、交流を刺激したり商品を販売する仕組み。mixiは今後も、「共感消費」をベースにしたサービスを提供していきたいとしている。

 DeNAの中島統括部長は、SNS経由での商品の購買増に期待をかける。「これまでECサイトは検索経由の流入(SEM)で盛り上げてきたが、それにはキャップ(上限)がある。SEM以上の手間をかけてでも、ソーシャル経由の購買市場を成立させたい」(中島さん)

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