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NHK、堀潤アナのTwitterアカウントを閉鎖へ メディア関係者から失望の声

» 2012年03月28日 18時04分 公開
[ITmedia]
画像 堀アナのTwitter

 東日本大震災や原発問題、IT動向などを精力的に取材し、その成果をTwitterでシェアしていた、NHKのニュース番組「Bizスポ」担当アナウンサー堀潤(ほり・じゅん)さんの公式Twitterアカウント「@nhk_HORIJUN」が、堀アナのBizスポ卒業に伴い、3月末で閉鎖されることになった。

 堀アナのアカウントは「NHK公式」だった。NHK広報室によると、堀アナのTwitterは「Bizスポのキャスターとして、番組のPRを含めて行なっていたアカウント」であるため、番組を離れるとともに終了することになるという。

 堀アナがTwitterで伝えてきた取材現場からの情報や、メディアの責任に正面から向き合う誠実なツイート内容にファンは多く、ネットでは、NHKに失望する声があがっている。

「アカウント存続のために動いてくれた先輩は沢山いた」が……

 堀アナのTwitterは、NHK公式アカウントとして運用されており、フォロワー数は約10万。東日本大震災以降、地震があるたびに震度情報を発信して注意を呼びかけたり、支援物資の募集情報を伝えたり、原発問題について取材した内容を発信するなどしてフォロワー数が急拡大。Twitterの声を取り入れた取材も行なっていた。

 東京電力・福島第1原発からのプルトニウム拡散に関連し、「僕らメディアの責任も本当に重たい」と、報道の責任を正面から受け止めた昨年10月のツイートが大きな反響を呼ぶなど、誠実な報道姿勢を応援する人も多かった。

 堀アナは3月27日、同アカウントを閉鎖することをツイート。「そもそもBizスポのキャスターとして認められたアカウント」であり、「僕が番組を離れる今月末をもってクローズすることになりました」と、その理由を説明している。「一生懸命このアカウント存続のために動いてくれた先輩は沢山いた」という。

画像 閉鎖を発表したツイート

「組織の理解の上で行なっていたTwitter」とNHK

 NHK広報室は、堀アナのTwitterについて、「番組(Bizスポ)と、NHKアナウンス室の了解のもとで、番組のPRを含めてやっていたもの。個人としてではなく、組織の理解の上で行なっていた」と説明。堀アナがBizスポを離れると、番組のPRという目的が失われるため、Twitterも終了することになるという。「みなさんからの受信料で仕事をしているのに、勤務時間内にTwitterをやるのはまずい」とNHK広報室の担当者は話す。

 4月以降堀アナは、「特定の番組に付くわけではないが、アナウンサー業務は続けていく」(同)という。

津田大介さんなどメディア関係者から失望の声

 マスメディアの報道現場から生々しい情報を伝える堀アナのTwitterを報道・メディア関係者も注目していただけに、アカウント閉鎖という終わり方に対し、NHKへの失望が広がっている。

 朝日新聞報道局の丹治吉順さんは、「個人アカウントでもあくまでも職務従属というNHKの考え方が徹底している感。ただ社会活動の単位は最終的に「個人」である以上、その基準で運用するのはいろいろ大変だろうなとは思う」とコメント。フジテレビ情報制作局の福原伸治さんは、「NHKって僕たちのとこ以上にこういうところは先進的だなと思っていたのに残念です。失ったものの大きさに気付くのだろうか」と書いている

画像 津田大介さんのツイート

 メディアジャーナリストの津田大介さんは、「堀さんのツイッタークローズさせるとかありえないだろ。NHKの報道なのか、編成なのか、上層部は納得のいく説明ちゃんとするべきだと思う」とした上で、「『組織の論理』でそういう不可解なことをメディアがやるから、いつまでたってもネットからマスコミに対する陰謀論が消えないんだよ、ってことを上層部の人間はちゃんと認識した方がいいと思う」と強く批判している。

画像 堀アナと親交のあった坂本龍一さんも、「残念!」とツイート

 堀アナは昨年12月、原発問題について語る一連のツイートで、「国や組織に期待してはだめだ。もうだめだ。僕らで動こう。僕らで考えよう。僕らでこの国を変えよう。だって、僕らの国なんだからさ。誰かに任せるのは、もう、やめよう。僕らは皆仲間だ。ここでこうして繋がっている皆は、何かに気が付いたからこうして繋がっている。だから、僕らが動こう」とつづっていた

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