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まるでプールの断面図 水中映像をスムーズに合成するNHKの独自カメラが五輪中継に

» 2012年07月06日 15時20分 公開
[ITmedia]

 NHK独自のカメラ「ツインズカム」が、ロンドン五輪のシンクロナイズドスイミングの中継で活躍する。水中と水上それぞれで撮影した映像を、水面を挟んだ1つのスムーズな映像に合成できる特殊なカメラ。演技中の選手の水中での動きも楽しめそうだ。

画像 ツインズカム(左)と、ツインズカムの映像効果。ツインズカムは、2000(長さ)×780(幅)×530(高さ)ミリ、重さは176キロ+固定用ウェイト

 ツインズカムは、水中と水上に設置した2台のカメラの映像を、水面を境界に合成し、水面にレンズを置いて撮影したかのような映像を表現するカメラ。NHK独自の技術で、国内の中継で運用しながら改良を重ねてきた。

 水と空気中では光の屈折率が異なるため、2つの映像を単純に合成すると、水中の物体が拡大表示され、スムーズにつながる映像にはならないが、ツインズカムは上下のカメラのズーム比を自動調整し、自然に見える映像を作り出す。

 2台のカメラ間での精密な位置調整や高精度の連続動作、レンズの光学的な歪み補正などで、スムーズな映像合成を実現したという。カメラの配置や制御方法などを工夫し、ズーム・パン操作も可能に。選手の動きをスムーズにフォローできるとしている。

画像 ツインズカムの仕組み

 オリンピック放送機構(OBS)から協力依頼を受け、シンクロ中継への採用が決まったという。中継では、NHKが世界を代表して映像を制作し、各国の放送局に提供。水面の演技を作り出すための水中の動きや、ジャンプの高さを確保するための水中でのコンビネーションなど、「これまでにない演出でロンドン五輪の映像をお伝えする」としている。

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