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「ユーザーファースト」掲げるmixi 開発・改善スピードアップへ

» 2012年08月03日 19時54分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 笠原社長

 「ユーザーのみなさまのご要望、声にしっかり耳を傾けていく」――ミクシィの笠原健治社長は8月3日、SNS「mixi」で“ユーザーファースト”を実現していくと話した。ユーザーの声をサービスにスピーディに反映する体制を整備。アクティブユーザー減少に歯止めをかけ、ビジネスを加速したい考えだ。

 mixiはスマートフォン対応の遅れなどが響き、月間ログインユーザーは減少傾向が続いている。今年6月は1453万人とピーク時(2011年5月)の1547万人より100万人近く減少。スマートフォンからの利用者は拡大が続きいて788万人となったが、全体の減少を補い切れていない。


画像 mixiの月間ログインユーザー数の推移(決算説明会資料より)
画像 開発にはユニット制を採用する

 反転攻勢に出るべく同社は、スマートフォン向け「mixi」を軸に、ユーザーファーストを掲げてサービスを改善していく。ユーザーからの機能要望や、ユーザーインタビュー、ログ解析などの仕組みを整備し、ユーザーの声が届きやすくするほか、開発体制も刷新。「つぶやき」「日記」「コミュニティ」など機能ごとに少人数のユニットを組み、要望をスピーディに各機能に反映していく。各ユニットは「仮想カンパニー」として収益も追っていく。

 「ユーザーの要望を把握してタイムリーにサービスを提供し、ユニット制で高速に意思決定してPDCAサイクルを回し、1人1人が収益を意識して全社的に収益を追える体制にする」と笠原社長は意気込む。

画像 イノベーションセンターで新規事業開発を加速

 スマートフォン向けをベースに、広告ビジネスを拡大する。ソーシャルグラフを生かしたスマートフォン向け新広告「ソーシャルエキスパンドアド」には24時間で100万人が参加するなど、「スマートフォン向け広告に手応えを感じている」(笠原社長)という。

 「イノベーションセンター」を新設し、社内で新規事業の公募も始めた。公募から審査、開発、テストまで数カ月の短期で行い、事業化・会社化を判断。スピードを重視しながら、「新しいチャンスを積極的にとっていけるようにしたい」。

コンプガチャ問題で上期売上高を下方修正

 同日発表した2012年4〜6月期連結決算は、売上高が前年同期比18.5%増の35億3900万円、営業利益が同2.6倍の8億8900万円、経常利益が同3.1倍の8億7100万円、純利益が同3.8倍の5億6200万円。

 mixiの広告収入だけで見ると、前四半期比で21%減の14億2600万円。スマートフォン向けが順調に拡大したが、フィーチャーフォン向けの減少を補い切れなかった。課金収入(主にmixiアプリからの収入)は同9%増えた。

 12年4〜9月期(上期)の業績予想の修正も発表した。いわゆる「コンプガチャ問題」に伴うソーシャルゲームの新ガイドライン対応などで、課金収入見込みを減額修正したことに伴い、売上高は前回予想より4億5000万円下方修正した65億5000万〜67億5000万円に。外注コスト削減などで利益は上方修正。営業利益は同3億5000万円上積みして12億〜13億円、純利益は同2億5000万円増の7億5000万〜8億円となる見通しだ。

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