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» 2012年08月10日 08時00分 UPDATE

岐阜の商店街から花の都へ 過激なゆるキャラ「やなな」が世界に飛び出した理由 (1/3)

段ボールの頭に人体むき出しのボディ――そんな岐阜県のご当地ゆるキャラ「やなな」が「Japan Expo」でフランスデビュー。その背景には、単なる日本文化の発信にとどまらない狙いがあった。やなな運営会社にインターンとして参加している学生からの寄稿。

[佐野友祐,ITmedia]

 段ボール箱の頭に、人間の肉体がむき出しのボディ――そんな“製作費1万円”のご当地ゆるキャラ「やなな」がこの夏、フランス・パリで開催された「Japan Expo 2012」(7月6〜8日)で鮮烈なデビューを飾りました。約20万人が来場し、Ustreamやニコニコ生放送でライブ配信も行われたこのイベントで、岐阜市内の商店街のキャラクターにパリっ子たちの熱い視線が注がれました。

photo 来場者たちに「セボン!(いいですね)」と写真を撮られるやなな
photo やななのプロフィール

 やななは岐阜市柳ケ瀬商店街の非公式マスコットキャラクターで、「アーケードのマーメイド」という駄洒落から生まれたキャラクターです。頭にかぶっている段ボール箱は柳ケ瀬商店街のアーケードのモチーフで、こう見えても普段は柳ケ瀬商店街の中にあるアクアージュという水路を泳いでいる人魚(という設定)なのです。ちなみに普段は8センチの大きさで泳いでいますが、岐阜市特産の枝豆を食べると20倍の大きさに変身して地上を歩き回れるようになる――という設定です。

photo 頭の形は商店街のアーケードがモチーフ

 はたから見れば「箱をかぶっただけ」、貼り合わせたガムテープもむき出しのチープな外見に唖然(あぜん)とする人もいるかもしれません。しかし、この容姿には柳ケ瀬商店街に向けられたメッセージが込められています。

 現在、柳ケ瀬商店街の利用者は全盛期の10分の1程度に落ち込み、各店舗が深刻な課題を抱えています。2008年に柳ケ瀬のキャラクター制作の話が持ち上がったとき、商店街はおろか、同地域の町づくり団体「ひとひとの会」でもキャラクターの着ぐるみを制作する予算などありませんでした。そこで「お金をかけずに魅力的なキャラクターを作ってみよう!」と奮起し、製作費わずか1万円で完成したのがやななです。

 当初は「こんな(チープな)外見だったらキャラクターを作る意味がないのでは?」という厳しい声も多数寄せられました。しかし、やななは2008年の登場以来、その外見とは裏腹に過激(?)なパフォーマンスが話題を集め、2009年の「ゆるキャラランキング」では1位を獲得するまでになりました。

 さらに、柳ケ瀬商店街のPRのためにさまざまなイベントやメディアに出演する姿勢が認められ、2010年には岐阜市から「特別住民票」を交付してもらったり、「岐阜県ときどき商工労働部長」に就任するなど、岐阜県内でも屈指の人気キャラクターに成長しています。

photo 毎週行っているUstream中継の様子

 やななは商店街内でのプロモーションのほか、毎週のUstream中継やブログなどのネットを使った情報発信を通じて「低予算の仕掛けでも、工夫次第でファンをつくれる」というメッセージを柳ケ瀬商店街に発信しています。やななは柳ケ瀬商店街を応援するキャラクターでありながら、柳ケ瀬商店街の抱える問題を指摘し続けるキャラクターでもあるのです。お金がなくても、商店街のファンを作り、商店街に人を呼ぶ仕掛けは必ず作れるのだということを、商店街の人たちに分かってほしい――それがやななが活動を続けてきた理由です。

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