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» 2012年08月28日 19時02分 UPDATE

「HTML5かネイティブか」――スマホアプリ開発や世界進出の苦労、GREEのCTOが語る (1/2)

グローバル展開を進めるGREEだが、さまざまな技術的課題や苦労があるという。CTOの藤本真樹氏が、現状を率直に語った。

[岡田有花,ITmedia]

 グリーがグローバル展開を加速している。米国や中国など世界5カ所に開発拠点を置き、グローバルプラットフォームの構築を進めているが、スマートフォン向けアプリ開発や世界展開には、さまざまな技術的課題や苦労があるという。8月28日、同社CTOの藤本真樹執行役員が開発の現状や苦労についてメディアに対し率直に語った。

HTML5かネイティブアプリか 「業界中悩んでいる」

画像 藤本CTO

 ソーシャルアプリ開発は、ネイティブアプリとして開発する方法と、HTML5を使い、Webブラウザから利用できるようにする手法がある。HTML5でか、ネイティブ2Dアプリか、ネイティブ3Dアプリか……「業界中悩んでいる」と、藤本CTOは打ち明ける。グリーでは「どれかに絞り切れないので、全部押さえに行こうとしている」のが現状だ。

 ネイティブアプリは表現力が豊かでレスポンスも速く、iOSならばApp Store、AndroidならGooglePlayで幅広いユーザーにプロモーションできるというメリットがある反面、売り上げの3割がプラットフォーム側に渡るため、開発側の手取りが目減りしてしまう。

 HTML5ならばアプリのインストールが不要で、収益はすべて開発側に渡るが、表現力やレスポンスに限界がある。「何しろスピードが問題で、パフォーマンスが全く出ない」。ハードウェアアクセラレーションの仕組みもあるが、対応しているのはごく一部の新しい端末のみ。ボタンを押した時のクリック音など効果音が出せないのも「つらい」。


画像 HTML5の処理速度をハードごとに比較したグラフ

 Webブラウザで3Dグラフィックスを表示させる「WebGL」もあるが、iOSでは“脱獄”しないと使えない。これが普及すると「ネイティブアプリを作る意味がほとんどなくなる」ため、今後も解禁される可能性は低いと藤本CTOはみている。

 Webベースで作ると「ソースコードがバレバレ」なため、チートが簡単にできてしまったり、端末のカメラを使ったアプリが作れなかったり、App StoreやGooglePlayといったマーケットに載せられず、プロモーションが難しくなるといった課題もある。「GREEのようなプラットフォームが、プロモーションに生きてくる」

 Androidは機種依存の問題もある。「Androidは世界で数千バージョンあると言われている。メーカーのカスタマイズが激しく、某メーカーの方に聞いた話だと、元のコードは3、4割しか残っていなかったりするらしい」。Webベースで作った場合は、多種多様なWebブラウザへの対応が必要になってくる。「ブラウザで作れば全部で動くかというと、そうでもない」

 こういった課題を解決する1つの策として同社は、アプリ開発に必要なコードのライブラリ化を進めている。ライブラリのオープンソース化も検討しているという。

Webとコンソール、サーバ側とアプリ側、両方の技術が必要

 エンジニアの出身業界によって得意不得意もあるという。Webアプリ製作者がネイティブアプリを作ろうとすると、リッチな映像やユーザーインタフェースなどを実現する技術が足りず、リッチコンテンツが得意だったコンソールゲーム系開発者は、Webでの経験がない。「スマートフォンでは、Web技術とコンソール的な技術の両方が必要。2つの業界が合わさりつつある」

 スマートフォン向けアプリ開発は「サーバ側とアプリ側の技術、両方がいる」面もあるが、PCのMMOと違い、何時間もプレイし続ける人は少なく、5分触ったらやめたり、地下鉄に乗ったら電波が切れたりする。「同期性が低い点をうまく使って、10万〜100万人がある程度リアルタイムなコミュニケーションできるような、スケーラブルなアプリを作りたい」

シリコンバレーの採用は「大変」

画像 海外の開発拠点の様子

 グリーの開発陣は「400〜500人」。開発拠点は東京、英ロンドン、米サンフランシスコ、中国の北京、韓国のソウルの5カ所に置き、大阪とカナダ・バンクーバーでも準備している。エンジニアは現地で採用。「シリコンバレーでは過当競争で、採用がすごく大変」という。

 世界のエンジニアとのコミュニケーションは、基本的に英語で行う。英語を身に付けさせるため、2〜3カ月米国に派遣したり、英会話の勉強をサポートする制度もあるが、基本的には実地で学び、覚えていく姿勢のようだ。「日本人は、頑張ればしゃべれるということが分かった」

 時差があるため、対面コミュニケーションより、メールやチャット、チケットなど、テキストベースがメイン。同じエンジニア同士なので、「コードでコミュニケーションできる」部分もあるという。

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