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「HTML5かネイティブか」――スマホアプリ開発や世界進出の苦労、GREEのCTOが語る(2/2 ページ)

» 2012年08月28日 19時02分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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遅延に頭悩ます

画像 世界の拠点図。ちなみに藤本CTOがこれまで最も冷や汗をかいた障害は「上場の2日後に、データセンターが火災にあい、サービスが14時間止まったこと」

 世界向けにサービスを提供する際、悩ましいのは遅延の問題だ。東京のデータセンターに置いたデータを都内でテストする場合、リクエストを返すまでにかかる時間は「ミリ秒単位」だが、サンフランシスコでテストすると「0.2〜0.3秒かかる」という。データセンターをいろいろな場所に置くと「サーバ間通信で0.1〜0.3秒かかる」など、「世界向けにサービスを提供するのは非常に大変」だ。

 グローバルプラットフォームを持つ各社は、さまざまな方法でこの問題にアプローチしている。例えばFacebookは、データセンターを米国にのみ設置。「海外からのアクセスを、アメリカのデータセンターでいかに速く返すかにリソースを投入している」という。

 Googleは各国にデータセンターを置き、ユーザーの居場所に近いデータセンターにアクセスできるようにしているという。この手法を採った場合、データの同期が行われるまで、データセンター間で内容にズレが生じるが、「検索結果は、最新の結果と数分ズレていても困らない」ため採れる手法だ。グリーは複数の国にデータセンターを置くGoogle方式を採りながら、いかにスピーディーにレスポンスを返すかを追求しているという。

 スマートフォンでやりとりするデータの容量は、フィーチャーフォンより格段に大きい。「GREEのトップページはフィーチャーフォンだと42Kバイトぐらいだが、スマホは300〜600Kバイト。スマホだとリッチな画面が出るが、フィーチャーフォン時代と比べて回線速度は速くなってはいない。どう快適なユーザーエクスペリエンスを提供するか悩む」

グリーの強みは「インフラに多くの人数を割いている」ところ

 グリーの開発陣の強みを問われた藤本CTOは、「開発の基盤に多くの人数を割いていること」と話す。サーバだけでなく、ライブラリやSDKなど広義の“インフラ”に、エンジニアの3分の1ほどが関わっているという。「アプリや技術の移り変わりは激しく、(他社が)似たようなプロダクトを作ることができる。開発するための仕組みをどれだけちゃんと持てているかが、会社としての競争力を保つのに大事」

 同社が求めるエンジニア像は、「仕事としてエンジニアをしているのではなく、好きでやっている人」だ。技術を楽しめるかどうかは「会社がどう言おうと変えることができない」資質。ソフトウェアのエンジニアは競争が激しく、身に付けるべき技術は増える一方。「新しい技術が出てきた時、楽しんだり、試してみようとか思ってくれる人が集まると、いいものができる」。

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