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» 2012年09月04日 11時30分 UPDATE

キーマン、本を語る【グローバル企業で働くということを知る3冊】:学生時代の読書が礎を作った 日本オラクル・桐生執行役員 (1/2)

新卒から外資系企業の日本法人で働く桐生氏が、日々のハードワークの中でさまざまなことを考える際に、そのベースとなっている本を紹介する。

[取材・文/伏見学,ITmedia]

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 日本オラクルの執行役員でソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長を務める桐生卓氏は、30代後半で役員に就任したという、同社の歴史においてもたぐいまれな人物であるといえよう。

日本オラクル 執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏 日本オラクル 執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏

 桐生氏は、大学卒業後に外資系アプリケーションベンダーに入社し、2009年から日本オラクルで働いている。なぜ外資系企業に身を置き続けているのか。その1つに「グローバルカンパニーの中で自分の能力をどれだけ発揮できるか試してみたい、日本人として勝負してみたい」という理由を桐生氏は挙げる。

 多忙を極め、「最近は月に1冊程度しか本を読む時間がない」と桐生氏。限られた時間の中で読むのは、海外で刊行された本が中心だという。「書店に並ぶ本などを手に取って眺めてみると、日本人の著者が書いたビジネス書などには欧米の論調を輸入しているものが多いという印象があります。それであれば、引用元であるオリジナルの本を読んだ方が得るものが大きいだろうと考えています」と桐生氏は説明する。

 今回は、グローバル企業というビジネス変化の激しい環境で仕事をする上で、桐生氏の考え方や行動のベースになっている書籍を紹介する。

「非営利組織のマーケティング戦略」

 仕事をする中でさまざまなことを考えるとき、この本で書かれているフレームワークが参考になっています。

フィリップ・コトラー&アラン・R・アンドリーセン著、井関利明&新日本監査法人公会計本部訳「非営利組織のマーケティング戦略」(第一法規) フィリップ・コトラー&アラン・R・アンドリーセン著、井関利明&新日本監査法人公会計本部訳「非営利組織のマーケティング戦略」(第一法規)

 初めて読んだのは1995年で、訳者である井関利明先生(当時・慶應義塾大学総合政策学部長)のゼミに入ったときに最初に指定された本でした。そのころは漠然とマーケティング=広告だと思っていたので、なぜ非営利組織にマーケティング戦略が必要なのだろうと疑問を持ちました。実際、本を読んだり、ゼミで講義を受けたりして、マーケティングは広告だけでなく、いろいろなメッセージや価値を相手にいかに届けるかという手段だと分かり、マーケティングでは営利組織も非営利組織も関係ないのだなと理解しました。

 この本に登場するフレームワークとは、基本的に「4P」(Product、Price、Place、Promotion)についてです。社会人になり、営業をしていると、上長から「売ってこい」とか「この製品を提案しろ」などいろいろなことを言われることが多いと思います。そもそもの顧客のニーズをフレームワークで考えると、彼らはこのように市場をとらえていて、こう製品戦略やチャネルミックスを考えているのだろうから、自社の商品やソリューションはこのように提案ができるはずだと、次の取るべき行動が分かるようになります。

 もう少し、具体的に説明しましょう。例えば、外資系の日本法人はプライスコントロールもプロダクトもありません。本社が提供してきた製品と価格に基づいて、プレイス、つまり販路をどうするか考えていきます。プロモーションは裁量がありますが、最近ではメディアの使い方も本社にコントロールされることもあります。

 このように、外資系の日本法人というのは、4Pというマーケティングの中で、自ら操作できるレバーの数が実に少ないのです。ただ、その中でいかに価値を出していくかが重要なのです。本社はなぜこの商品をこの価格で提供するのだろうと逆算して考え、ターゲットとして狙っているマーケットはこれだという仮説を立てます。本社が何をターゲティングしているかをきちんと理解して、それを正しく顧客に伝えなければなりません。

 本社が提供する商品と、それにひもづけられた価格は、きっと何かメッセージがあるはずだと思いました。それを理解して、日本の顧客に伝えるのが、自分が外資系企業で働くことの意味なのだということを、社会人3〜4年目のころに考えるようになりました。少なくとも、学生時代にこの本を読んでなければ、当時、4Pも何も考えなかったでしょうね。

 今でもこの本をデスクの横に置いて、毎日開いているかというと、そういうことはありません。ただ、学生時代に何度も読み込んでいたので、頭の中にフレームワークはしみ込んでいます。

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