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テザリング解禁はLTE基地局整備とiPhone 5を待っていた──孫社長

» 2012年09月19日 21時42分 公開
[ITmedia]
photo 孫社長

 「LTE基地局整備の進ちょくと、iPhone 5の発売を待っていた」──ソフトバンクモバイルの孫正義社長は、来年1月からのテザリング解禁に踏み切る理由を説明した。iPhone 5で利用できるLTEサービスでは基地局数やエリアの広さでKDDIに先行していると強調し、24時間通話無料オプションや旧機種の下取り額積み増しなども発表。「他社のiPhone 5より速く、安い」と、テザリング対応の発表で先駆けたKDDIへの対抗に自信を見せた。

 テザリングは、スマートフォンをモバイルルータのようにして無線LAN対応機器をネットに接続できるようにするサービス。高速通信サービス「SoftBank 4G」と、iPhone 5に合わせて9月21日にスタートする「SoftBank 4G LTE」対応スマートフォンが対象になる。

 サービス開始は来年1月15日。9月21日から12月末までの受け付けで、月額525円のオプション料金は2年間無料に、加入必須の「パケットし放題フラット for 4G LTE」は年間月額5460円とする。

 テザリングで毎月の利用データ量が7Gバイトを超えた場合は通信速度が上り/下りとも最大128Kbpsに制限される点などは他社と同様。「後出しじゃんけんのように思われるかもしれない。事実、後出しじゃんけんです(笑)」(孫社長)。iPhone 5単体からのLTE利用では上限は設けず使い放題とする。

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 4G/4G LTE対応スマートフォンから同社端末への国内通話料が24時間無料になるオプションも月額500円で提供。また新規・機種変更時に旧機種を下取りするプログラムでは、当初1万2000円としていたiPhone 4Sの下取り額(割引額)を最高2万円に、8000円としていたiPhone 4は最高1万2000円にアップ。下取り対象はiPhone 3/3GSやHTC、Dell製端末にも拡大した。下取りした端末は海外でのリユースを想定しているという。

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 「ネットワーク障害を起こさないように、テザリングにも慎重だった」という同社がこのタイミングでiPhoneのテザリング解禁に踏み切るのは、LTEに対応したiPhone 5の登場と、サービスに耐えうるLTE網の整備にめどがたったためだと孫社長は説明する。

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 「LTEは3Gの約3倍くらいトラフィックのキャパシティがある。iPhone 5が普及すれば、今まで2GHzで使っていたiPhoneのトラフィックをLTEにオフロードできる」(孫社長)。テザリング対応はiPhone 5発売から約4カ月後になるが、その間にLTE基地局の構築が進む結果、「データトラフィックをかなりオフロードできると想定しており、それができるのであれば多くの一般ユーザーに迷惑かけずにテザリングを実現できるのでは」という。

 LTE展開では来年3月末時点で実人口カバー率91%を掲げる。KDDIは800MHz帯を含む全体でLTE実人口カバー率96%をうたっているが、iPhone 5で使える2GHz帯LTE対応では「KDDIの倍以上先行している」と説明。7月に始まった900MHz帯サービス「プラチナバンド」対応基地局の建設も進み、「1年後、2年後でみると急激に良くなっていくだろう」と改善に自信を見せていた。

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