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NEC、「はやぶさ2」も採用の画像圧縮エンジン発売 圧縮速度はJPEG2000の数十倍

» 2012年11月05日 19時01分 公開
[ITmedia]
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 NECは11月5日、高速な静止画像圧縮エンジン「StarPixel」の販売を始めた。JPEG2000と同等の圧縮率でも圧縮時間は約10〜40倍という高速・低負荷な点が特徴で、高精細画像の高速伝送や端末の小型化などが可能になるとしている。2014年に打ち上げ予定の小惑星探査機「はやぶさ2」も採用し、画像転送に活用する。

 同社の中央研究所が開発した独自の画像変換・符号化手順により、処理負荷をJPEG以下に抑えながらJPEG2000と同等の圧縮率を実現するという。可逆圧縮版(圧縮率1/2)と、高圧縮率の非可逆圧縮版(1/5〜1/100)があり、モノクロ・カラーとも可能。カラーは各色16ビットまでの高精細画素形式にも対応する。

 カラー画像を使った圧縮実験で、JPEG2000比で圧縮率は同等ながら約10〜40倍の圧縮速度、約6〜13倍の伸張速度を達成したという。

 可逆圧縮版は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」に搭載され、はやぶさ2では可逆版・非可逆版の両方がメイン画像圧縮方式として採用される。またNEXCO西日本グループが高速道路の路面画像収集システムで活用し、同容量の記録メディアで従来比2倍以上の距離の撮影データを保存できるようになったという。

 Windows用DLLとして提供するが、要望に応じてLinuxやiOS、Androidなど各種OSへの対応やハードウェア回路としての提供にも対応する。今後3年間で1万ライセンスの販売を目指す。

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