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石野卓球「おせーよ!」 小室哲哉「SME頑張って!」 iTunesでソニー邦楽“解禁”

» 2012年11月07日 18時07分 公開
[ITmedia]

 11月7日午前0時、AppleのiTunes Storeでソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)系邦楽アーティストの楽曲配信が始まった。人気アーティストを数多く抱える大手レコード会社の“解禁”だけにファンは歓迎する一方、「なぜここまで時間がかかったのか」という声も少なくない。

photo 石野卓球さんのツイート。ソロ作「KARAOKE JACK」のジャンルが「カラオケ」になっている

 「本日からiTunes Storeで僕のソロや電グルのタイトルがほぼ買えるようになりましたとさ。遅せーよ!」とツイートしたのは電気グルーヴの石野卓球さん。さらに「あと2日遅らせて11/9のベルリンの壁崩壊の日に合わせれば良かったのにね。ベルリンの壁崩壊時に例えるとソニー側が東、Apple側が西。」と冷戦終了になぞらえた。

 iTunes StoreでのSME楽曲配信の解禁について、Twitterで時折ツイートしてきた小室哲哉さん。前日には「SME頑張って!」「6時間切りました」と配信スタートをほのめかし、「誰が一番最初に、僕らの青春を彩ったSONY系レーベルの曲を iTunes StoreからDLするんだろう。僕はアナログ、カセット、CD、と頑張って来てくれたTMのCAROLかってあげたいなあ。」と、小室さんがソニー系レーベル(エピック)で活躍したTM NETWORKの代表的なアルバムの名前を挙げた。配信開始の午前0時には緊張したそうで、「オオカミ少年にはなりたくなかったもん(笑)」

 「今日からiTunes storeで僕の曲が買えますよ〜」(久保田利伸さん)と、Twitterではアーティスト自身やアーティストのプロモーションアカウントが相次いでiTunesでの配信をファンに報告している。

 加わったSME楽曲は、尾崎豊や浜田省吾、久保田利伸、ユニコーン、電気グルーヴ、いきものがかり、ASIAN KUNG FU-GENERATION、YUKI、ねごと──と80〜90年代を彩った名曲から現在の若者に人気のバンド、人気声優によるアニメソングまで多数。7日発売の西野カナさんの新曲「Always」とJUJUさんのベストアルバム「BEST STORY」はそれぞれトップソング・トップアルバムになっている。

photo アルバム売り上げランキングに松田聖子、チャットモンチー、佐野元春、JUDY AND MARY、ユニコーン、L'Arc〜en〜Cielなどが登場している

 “解禁”はネットでは歓迎されているものの、やはり「なぜ日本ではここまで時間がかかったのか」と嘆く声も目立つ。名アーティスト、名曲の数々に「これだけの資産を生かせなかったということか」というため息も聞こえる。

 Appleが日本で「iTunes Music Store」を開始し、楽曲配信を始めたのは、米国から約2年遅れの2005年8月。東芝EMI(当時)やエイベックスなど国内15社が当初から参加していたが、多数の大物アーティストを抱えるSMEは参加していなかった。SMEがコピーコントロールCD「レーベルゲートCD2」を通常CD(CD-DA)に置き換えて再出荷するという方針を発表していたころのことだ。

 SMEがiTunesへの参加を拒んでいたのは、ウォークマンを展開する親会社の戦略とも、Appleに価格決定権を握られるのを拒んだからだとも言われる。ソニーグループ主導で2000年に設立されたレーベルゲートは「mora」を展開し、ソニーが開発したATRAC3形式で楽曲を配信。SMEはmoraや着うた・着うたフルなどに楽曲を提供したものの、iTunesへの配信は見送り続けた。Apple製品を使っているアーティストからの嘆きも漏れ聞こえ、時折「そろそろらしい」といったうわさも浮上しては消えていった。

 だが今年に入り風向きが変わる。日本でも「iTunes in the Cloud」が始まった2月22日、マイケル・ジャクソンなどSME系洋楽アーティストの楽曲配信がスタート。違法ダウンロード刑事罰化が導入された10月1日にはmoraがリニューアルされ、配信形式をAAC(320Kbps)に変更した上でDRM(デジタル著作権管理)フリーとなり、購入した楽曲はiPodを含むメディアプレーヤーで楽しめるようになった。小室哲哉さんはSME楽曲配信の解禁を示唆するなど、期待も高まっていた。

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