「セキュアな通信を、誰もが簡単に」――Mac同士で直接ファイル送信、コネクトフリー「EVER」公開
ITベンチャーのコネクトフリーは12月12日、Mac同士をP2Pでつなぎ、ドラッグ&ドロップでファイル送信できるサービス「EVER」β版を無料公開した。暗号化した通信でファイル送信でき、センターサーバを経由しないため第三者にのぞかれる恐れもなく、プライベートなファイルをセキュア・簡単に送信できるとしている。同社はEVERの通信の仕組みを「バーチャルプライベートクラウド」(VPC)と名付け、APIを公開してさまざまなアプリケーションで利用してもらいたい考えだ。
EVERのクライアントアプリをインストール・起動すると、画面上に専用のツールバーを表示。ツールバー上にファイルをドラッグ&ドロップすると、送信相手を選ぶ検索画面に切り替わる。あらかじめ登録しておいた友達から送信相手を選ぶと、ファイルが送信される仕組みだ。送れるファイル容量は最大10Gバイトまで。友達とテキストチャットする機能も備えた。
専用のプロトコルで通信し、RSA(2048ビット)とAES(256ビット)を使って暗号化。同社はユーザー認証やIPアドレス管理などユーザー同士をつなぐ役割のみを担い、ファイルはP2Pで送信されるため、第三者にファイルをのぞかれる心配はないとしている。ただ、相手がオフラインの場合のみ、100Mバイトまでなら同社のサーバで預かり、オンラインになったときに送信できるようにする。対応OSはMac OS X 10.7以降。
セキュアな通信を、誰もが簡単に
開発のきっかけは、同社が公衆無線LANサービス「ConnectFree」を提供した際に受けた行政指導だったと、同社のクリストファー・テイト社長(24)は話す。ConnectFreeでは、ユーザーのMACアドレスやSNSのID、アクセスしたURLなどを無断で取得。電気通信事業法が定める通信の秘密を侵害したとして、総務省から行政指導を受けた。
指導を受け、通信の秘密の大切さを学んだというテイト社長。「セキュアな通信を、誰でも簡単に使えるようにしたい」と、EVERの開発に着手した。VPNなど既存のセキュアな通信は、利用までの手順が面倒。EVERは誰でも簡単に使えるようユーザーインタフェースを試行錯誤。ドラッグ&ドロップで利用できる今の形に落ち着いた。
センターサーバを経由するVPNと異なり、EVERの通信には第三者のサーバが介在しないため、よりセキュアだとアピールする。「LTEなど高速な無線回線が普及し、PCがずっとネットワークにつながっている時代が来る。その環境ではセンターサーバは不要になる。IPアドレスの代わりに、人間同士をネットワークしたい」とテイト社長は展望する。
まずはβ版としてMacユーザーに公開し、フィードバックを受けながら機能を改善。Windows版も開発する予定だ。APIも公開する計画。ファイル交換やチャットだけでなく、ゲームの対戦などさまざまなアプリケーションに、EVERのセキュアな通信環境を提供したいという。
無料サービスで、当面の収益はゼロだが、「この技術に興味を持ってもらえれば、ビジネスは自然に付いてくるのではないか」とテイト社長。「われわれ技術者だし、世の中をより良くする責任がある。それができればビジネスチャンスは付いてくるだろう。とりあえず、面白いことがやりたい」と話している。
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