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» 2012年12月20日 17時07分 UPDATE

「コミケの文化を世界に」――Windows Azureで動く「コミケWebカタログ」開発の舞台裏 (1/3)

30年以上の歴史を持つ「コミックマーケット」で、初の「Webカタログ」が公開された。取り組みの背景と狙いを、開発を担当したCircle.msに聞いた。

[本宮学,ITmedia]
photo コミケWebカタログ

 “コミケ”などの通称で呼ばれる同人誌即売会「コミックマーケット」。12月29〜31日に開かれる“冬コミ”こと「コミックマーケット83」(東京ビッグサイト)に向け、コミケ史上初の「Webカタログ」(β版)が公開されている。定番の分厚い冊子版やDVD-ROM版に加え、新たにWeb上でも出展サークル情報などが閲覧できるようになった。

 開発したのは、コミケを運営するコミックマーケット準備会から委託を受けてオンライン申し込みサイトなどの開発・運営を手がけるサークル・ドット・エムエス(Circle.ms)。これまでもコミケ公式カタログ向け入稿作業に携わってきた同社が新たにWebカタログの開発、公開に踏み切った。

 サイトは11月2日にオープン。出展する同人誌サークルの検索機能や、「サークルカット」と呼ぶ出展者のPRイラストの一覧に加え、館内マップ上にサークル情報を表示する機能や、参加者がお気に入りのサークルを色分けして登録・管理できるチェックリスト機能を搭載。外部サービスとも連携し、pixivで「お気に入り」登録しているサークルの最新画像をWebカタログ上に表示したり、気になるサークルのTwitterアカウントをまとめて「リスト」に追加できる機能も備えている。

 来年夏のコミックマーケット84では、機能を拡充した正式版を公開する予定だ。「(Webカタログを)世界中のオタクをつなぐ“ハブ”にしたい」と話すCircle.msの佐藤一毅社長、田邊浩靖さん(技術統括)、堀口政史さん(開発統括)に、開発の狙いと背景を聞いた。

photo Circle.msの佐藤社長(右)、田邊さん(中)、堀口さん。佐藤社長と田邊さんは、10代の頃からコミケに通い続けている「30年選手」だ

情報の鮮度を「半年前」から「最新」に

 コミックマーケットは年2回、夏冬それぞれ3日間ずつ開催される世界最大級の同人誌即売イベントだ。ここ数年の参加者は毎回50万人を超えており、今年の夏コミ(コミックマーケット82)には3日間で57万人の参加者が訪れたという。

 コミケで作品を展示・頒布するグループは「サークル」と呼ばれ、毎回約3万人がサークルとして参加する。これらのサークル情報を掲載し、参加者が目当てのサークルを探したりするための情報源になるのが「カタログ」だ。

 カタログ上のサークル情報は、夏コミなら開催の半年前、冬コミなら4カ月前に申し込んだ際の情報が掲載される。だが「申し込みから半年たつとサークルのやりたいことが大きく変わっていたりする」と佐藤社長は話す。従来の冊子版やROM版カタログでは、申し込み後のサークル情報の変更に対応できず、発売時に既に情報が古くなってしまっている場合もあった。

 コミケ参加者にサークルの最新情報を届けたい――そんな思いから、Webカタログの開発をスタートしたという。

きっかけは“電子化”

 Webカタログの開発が決定したのは今年6月だが、構想自体は数年前からあったという。開発の直接のきっかけとなったのは、コミケカタログの制作過程の“電子化”だ

photo コミケカタログ

 コミケカタログのページ数は毎回約1300ページに及び、冊子版はその分厚さと重さから「電話帳並み」「武器になる」などと言われている。だが2010年までは伝統的に、この膨大なページの入稿作業を全て紙で行っていたという。「オンラインで申し込まれたサークル情報も全てプリントアウトして紙に貼り付けたりと、大変な作業負担になっていた」(佐藤社長)

 「同人イベントの運営は80年代からほとんど変わっていない感じで続いていた。当社は2007年の発足以来、同人イベントを“ネット時代”に適合させようとしてきた」と佐藤社長。2011年にカタログ入稿作業のDTP化を完了し、それを足がかりとしてWebカタログの開発に踏み切ったという。

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