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» 2013年02月25日 15時00分 UPDATE

中国政府、自国の“ネット右翼”に困惑し始める 嫌がる人も多い“憤青” (1/3)

「大気汚染の原因は日本」という中国の一部が取り上げた根も葉もない話に現地では「そんなわけはない」という常識的な反応が多かったことは知られてない。中国政府は“ネット右翼”や“ポピュリスト”に頭を痛め始めている──山谷氏による現地からのリポート。

[山谷剛史,ITmedia]

 ひんぱんに報じられる中国の「尖閣問題」と「大気汚染問題」は、日本に関係する2つの無視できない問題だ。政府や軍ではなく、一般の中国人はどう思っているのだろうか。

 中国で報じられているのは尖閣問題だ。大気汚染問題は酷い地域では前が見えないほどの「目に見える問題」ではあるが、よく見えない視界の先にある屋外ディスプレイでも、地下鉄やバスのディスプレイでも尖閣問題のニュースを日々取り上げ、大気汚染問題のニュースを見ることは少ない。

photo マスクは大気汚染の霧の影響で月万単位で売れている

 ネットにおいては、ただでさえひどい空気がひどさ極まる日には耐え難いのか、、大気汚染に関する検索結果は尖閣問題の検索数を軽く越えるほど一気に上昇する。Googleトレンドによく似た「百度指数」なるサービスでは、1月8日あたりから大気汚染がひどくなり、ニュースの数は増え、14日と30日に検索数の山が来たことがよくわかる。ただのど元過ぎれば熱さを忘れるわけで、1日2日経てば検索数はぐっと減る。過去様々な苦難を経験した中で「ちょっと我慢すれば大丈夫」という考えを多くの中国人が持っていることも原因だろう。

 それでも空気清浄機やマスクがかなり売れているようで、たとえばメディア「毎日経済新聞」の記事によれば、ダイキン、パナソニック、シャープの3社の空気清浄機の売り上げが非常に伸びているという。筆者の感覚では、汚染の霧が渦巻く地域の中でも北京や上海のような金のある地域だけで特に売れている感じを受ける。

嫌がる人も多い「憤青」

 尖閣問題においては安倍晋三首相ら日本の政府関係者の尖閣絡みの発言や、日本のテレビニュースメディアの報道を紹介し、相も変わらず新作の反日ドラマの放映予告の広告がバス停の広告スペースに飾られている。ニュースサイトならなおさらで、とにかくその雰囲気に筆者も含め、日本人には緊張が走る。中国人とて「すわ日中開戦か?」という雰囲気に何度かなった。

 中国のニュースサイトは積極的に尖閣問題を取り上げている。日本政府関係者の動向や日本の大メディアの報道をはじめ、趣味のブログメディアの記事に至るまで中国絡みの記事をピックアップし紹介している。

 レーダー照射事件は当然のように話題になった。1つのサイトが掲載すれば、瞬く間に複数のニュースサイトに同じ文章の記事が転載され、ネットユーザーが感想を投稿する。感想コメントは「なぜ中国の軍隊は出ない?」「弱腰中国政府」「それより自分の生活は苦しい」「日本は酷い国」「日本製品不買」「“憤青”が多すぎる」──という風にざっくり分けられる。さまざまなコメントが出るが、中国や中国人に自省を求めるコメントには多くの賛同の「いいね!」がつき、ベストコメントになる傾向もある。

photo オンラインショッピングサイト「淘宝網」では空気清浄機が売れている。ダイキン、シャープ、パナソニックの製品は1店で月数百台売れたようだ

 「憤青」は「フンチン」なる発音で、本来の意味は「憤る青年」だが、転じて日本でいうところの「ネット右翼」的な意味となっている。「フン」の発音から「憤青」ではなく「糞青」とも呼ばれる。「糞」と呼ばれるくらいだから嫌がられており、彼らは日本の話題が出るたびにニュースのコメント欄で理性なき日本叩きのコメントを脊髄反射的に投稿しては、多くのネットユーザーから反論コメントの集中砲火を浴びている。

 その結果、最近では憤青たちは自身のブログで憂さ晴らしするほか、「鉄血網」などの軍事、歴史、政治系ニュースサイトで同じ趣味を持った者同士で日中関係や中国のあるべき姿を彼らの妄想のままに好きに論じる傾向がある。嫌がられるのは憤青だけではなく、サイト「環球網」も抗日煽り系記事が多いとして嫌がる人は多い。

 憤青は最近、尖閣問題とともに息を吹き返した。特に昨年9月の反日デモ以降「なぜこんなに糞青は多いんだ」という意見をみるようになった。「中国の大気汚染は日本が原因」という根も葉もない話が中国でもニュースになったことがある。この件は日本でも報じられたが、憤青を嫌がる人が多いように、このニュースについても「そんなわけはない」と頭を痛めるコメントが多数あったことは、日本ではあまり報じられていないように思う。

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