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「私の最後のお遊びに使い果たそうと」 童夢オーナー、グループ会社売却理由をあまりに率直につづる

» 2013年03月18日 19時04分 公開
[ITmedia]

 「その売却益を投入して私の最後のお遊びに使い果たそうと考えた訳です」──レーシングカーで知られる童夢グループのオーナー、林みのる氏(67)が、グループ会社を東レに売却するに当たり、ニュースリリースで極めて率直に理由をつづっている。「最後にどうしてもやっておきたい」という車作りが残っており、そのために資金が必要だったのだという。

photo 15年度完成を目指す“やんちゃ”なロードゴーイング スポーツカー

 売却するグループ会社はレーシングカー用カーボンFRP(CFRP)の生産会社「童夢カーボンマジック」とタイの生産子会社。東レは100%子会社化し、自動車向けCFRP部品の設計技術力を強化する。

 童夢は林みのる氏が1975年に設立し、ル・マン24時間レース参戦などで知られるレーシングカーコンストラクター。林氏は率直な物言いが有名で(Twitterも)、売却理由を説明するニュースリリースもかなりぶっちゃけた内容になっている。

 まず「理由がかなり常識はずれなのでご理解いただけるかどうか疑問ですが、まあ、理解を得ることが重要という訳でもありませんので事実だけを述べておきます」と始まり、

 「この国で、世間から必要ともされないし評価もされない、仕事はほとんど海外に流れる、いつまで経っても持ち出しが続く、その上、金だけはやたら必要な、とても事業とも言い難いようなレーシングカー・コンストラクターを生業とする会社を存続させる必要も意義も意味も無いと思っていますし」

 「『童夢の将来』については全くビジョンを持っていません」

 だが、あと3年間、「どうしてもやりたい事がもう一つだけ残っている」という。

 それは2015年度の完成を目指す、「ロードゴーイング スポーツカー」、公道走行可能なスポーツカーだ。童夢創業当時に発表したスーパーカー「童夢−零」のリベンジも意識して、正攻法でナンバーを取得できる“やんちゃ”な(現代版Lotus 7のような)スポーツカー作りを目指すという。

 そのためには「もう少し大きな予算が必要なのですが、日本国じゃあるまいし、あと3年で引退する私が莫大な借金を残す訳にもいかないので」、グループ会社を売却し「その売却益を投入して私の最後のお遊びに使い果たそうと考えた訳です」という。事業面も技術的にも有望な童夢カーボンマジックを東レに託すことができるのもポイントだったという。

 「いずれにしても、私はこの3年間に思いっきり自由な車造りを楽しんで、『あー、楽しい人生だった』と満たされた気持ちでリタイアする予定ですのであしからず」

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