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「警察の萎縮効果狙う」 赤松健さん、2次創作同人守るための「黙認」ライセンス提案(1/2 ページ)

» 2013年03月28日 16時20分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 漫画家の赤松健さんは3月27日、文化庁が主催した「著作物の公開利用ルールの未来」に関するシンポジウムで、漫画の2次創作文化を守るための新ライセンスを、クリエイティブ・コモンズ(CC)に提案した。昨年にも同様な目的でライセンスを提案していたが、「コミケ準備会に突っ込まれた」そうで、新たに、コミケなど即売会当日に限定した新ライセンスを提案。「黙認」を意思表示するというユニークなものだ。


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 「クリエイティブ・コモンズを普及させるには、漫画ですよね」――赤松さんはそう切り出し、新マーク「CV」(connivance、黙認)を説明する。

 「作者として、公式には2次創作は認められないが、従来までのような常識的な範囲内なら、同人誌即売会の当日だけ、無料で2次創作を黙認する」という意思を表示できるマーク。丸い円の中に黒色で人物マークが描かれ、その後ろにもグレーで人物が描かれている。前の人物が著作者で、後ろの人物が2次創作者を表している。

 成年向け、BLなど全ジャンルで「黙認」し、内容の審査は即売会運営側に一任。紙の同人誌、即売会限定の版権で、同人誌書店での販売は認めない。これまでの2次創作同人文化を支えてきた「イベント当日の黙認」を明示した形だ。

 「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは基本的にデッドコピーを前提にしているが、原作の絵をそのままコピーされたり、切り貼りされるのは困る。キャラと設定だけ使った2次創作が認められるCCマークが欲しい」と新ライセンスを提案。

 2次創作をはっきりと認めるのではなく、“グレー”にするのが狙いで、マークの明示も、漫画雑誌の目次などでは「編集部が認めてくれない」ため、漫画のキャラのシャツに描き込むといったグレーな表示を提案している。

非親告罪化したとき、警察の萎縮効果狙う

 日本のTPP参加で著作権が非親告罪化した場合でも、作家が作品の中でこのマークを明示していれば、2次創作同人誌のイベント販売に安心感が得られる。また、漫画雑誌の中で1作品でもこのマークを明示していれば、警察がその雑誌すべての掲載作品の2次創作の摘発をためらうだろうと赤松さんはみる。

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