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孫社長、「ドコモ超え」宣言 ソフトバンクの13年度、営業益1兆円突破へ

» 2013年04月30日 20時06分 公開
[ITmedia]

 「ドコモを10年以内に超えるというのが積年の思いだった」──ソフトバンクの孫正義社長は4月30日、2013年度(2014年3月期)の連結営業利益(IFRS)が1兆円以上になるとの見通しを明らかにした。NTTドコモは8400億円との予想を公表しており、「ドコモの利益をほぼ確実に超えることを意味している」と宣言。「国内ナンバーワンは通過点に過ぎない」と米Sprint Nextelの買収実現に力を込めた。

photo 緑のネクタイについて孫社長は「春が来た。英語だとSpring has come。『Sprint has come』と言えるようになるのではないか(笑)」

 同社の2012年度(2013年3月期)の連結決算(日本基準)は、売上高が5.5%増の2兆3783億円、本業のもうけを示す営業利益が10.3%増の7450億円と過去最高を更新。携帯契約者の純増数が353万と大手3事業者でトップを維持するなど、契約者数の増加により通信料収入が堅調に推移した。

photo 決算説明会資料より

 同社は13年度の連結業績予想を公表していないが、営業利益については「1兆円以上になる」との見通しを明らかにした。通信料収入の伸びなどに加え、連結子会社化したガンホー・オンライン・エンターテイメントの投資持ち分について約1500億円の利益を計上するのも大きい。

 孫社長は都内で開いた決算説明会で、「1兆円超えは覚悟を決めて申し上げてる数字だ」とした上で、「営業益が1兆円を超えたことがあるのは日本の経済史上ではトヨタ自動車とNTTの2社くらいで、われわれは3社目になるのではないか」と胸を張った。

photophoto 「全てにおいて負けていた」が、「ドコモを大きく上回る」

 「ソフトバンクの経営と言えば危なっかしさであり、借金過多であり、『つながりにくさ』だったと思う」と自ら振り返りつつ、「iPhoneはわれわれのほうが毎日コンスタントにあらゆる局面においてつながりやすい」と、最近の各種調査を引用して携帯のつながりやすさがトップクラスに向上していることをアピールした。

 ドコモが野菜販売のらでぃっしゅぼーやなど異業種企業を相次ぎ買収、「総合サービス企業」を目指す戦略には「ソフトバンクはネット関連企業1000社以上による世界最大のインターネット企業グループ。他社はその一部をやり始めたと言えるのでは」と余裕を見せる。

 KDDIが展開する、固定回線と組み合わせることでスマートフォンを料金を割り引く「スマートバリュー」についても「何か新しいサービスが生まれているのではなく、単に値引きの口実の1つだととらえている。サービスが融合して革新的なプロダクトが生まれたといったものではなく、当然業績にはたいして貢献できないのでは」とした。

買収額、シナジー、経験──Sprint買収の優位性を強調

 Sprint買収関連については全て英語でプレゼンテーションを実施。201億ドルによる買収で合意したSprintに対し、米衛星放送大手のDISH Networkがこれを上回る255億ドルで買収提案したが、孫社長は「1株当たり買収額はDISHのほうが高いと主張しているがこれはミスリード」と、コスト効果などを考慮すると実質的にはソフトバンクの提案がDISHの提案を21%上回っていると説明した。

 また「ソフトバンクは世界で最も急速に成長しているモバイル企業なのに対し、DISHはモバイル分野で経験がなく、スケールメリットもシナジーも見込めない」と指摘。DISHの買収資金調達が未定となっている一方ソフトバンクは資金を確保し、さらにボーダフォン日本法人を巨額で買収した経験もあり、買収後の携帯電話事業での展開を含めてソフトバンクが優位にあると強調した。

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