ニュース
» 2013年05月24日 19時33分 UPDATE

児童ポルノ禁止法改定案、提出迫る 漫画・アニメ表現規制の検討も盛り込む

児童ポルノの単純所持を禁止する児童ポルノ禁止法改定案が自公の議員立法により提出が迫っている。漫画・アニメなど創作作品の規制につながる「調査研究」と3年後の「必要な措置」も盛り込まれており、漫画・アニメ関係者の緊張が高まっている。

[ITmedia]

 児童ポルノ画像などを所持すること自体の禁止、いわゆる「単純所持」の禁止を盛り込む児童ポルノ禁止法改定案を自民、公明両党が議員立法で準備し、週明けの5月27日以降にも国会に提出する方向になった。改定案には漫画・アニメなど創作作品の規制につながる「調査研究」も行うことが明文化されており、漫画・アニメ関係者の緊張が高まっている。

 産経新聞の報道によると、自民、公明両党は改定案を議員立法として5月27日週中に提出することを決めたという。日本維新の会も加わった3党共同提案で今国会中の成立を目指している。

「性的好奇心を満たす目的」の所持に罰則導入

photo 改定案の概要=山田議員のWebサイトより

 山田太郎参院議員(みんなの党)がWebサイトで公開している自民党側からの資料によると、改定案では、

(1)何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、またはこれに係る電磁的記録を保管してはならない。

 ──と児童ポルノの写真、デジタル画像の所持を禁止。これには罰則はないが、

(2)自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者、児童ポルノに係る電磁的記録を保管した者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金

──として、「自己の性的好奇心を満たす目的」で児童ポルノの写真やデジタル画像を保管した場合には罰則が導入される。

 改定案が成立した場合、公布から20日で施行される。施行から1年間は猶予期間として単純所持への罰則は適用しない。

 2009年に単純所持禁止を盛り込む改定案が提出された際(後に廃案)、警察による捜査権の乱用をもたらす危険性を挙げて批判されたことを考慮し、改定案では「児童に対する性的搾取および性的虐待から児童を保護し、その権利を擁護するとの本来の目的を逸脱してほかの目的のためにこれを乱用するようなことがあってはならない」ことを明示している。

 またネット事業者に対し、児童ポルノの所持や提供などを防止するための措置を講ずる努力義務を求めている。

「児童ポルノに類する漫画」の「調査研究」明文化

 改定案では、2009年に提出されて廃案になった自公案と同様、附則として、

  • 政府は児童ポルノに類する漫画など(漫画、アニメ、CG、擬似児童ポルノなどをいう)と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限に関する技術の開発の促進について十分な配慮をする
  • 児童ポルノに類する漫画などの規制およびインターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限については、法律の施行後3年をめどとして、調査研究および技術開発の状況などを勘案しつつ、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする

──と、政府に対し、「児童ポルノに類する」という漫画やアニメなど児童へのわいせつ行為などへの関連を調査研究し、その結果を受けて3年後をめどに「必要な措置」をとることを求めている。

安倍首相「慎重に検討を進めていくべき」

 改定案を公表した山田議員は「表現の自由を大幅に規制する」として改定案に反対する。「児童ポルノを厳しく取り締まるという目的の他に、非実在、つまりアニメなどの表現規制にもつながる可能性がある」「将来的に『架空の児童』に対しても制限をかける可能性を持たせている」と、改定案が表現規制を視野に入れている点を問題視する。

 山田議員は「現実的にはしずかちゃんのお風呂のシーンは法律による規制の対象にはならないと言われています。しかしながら、どこまでならば今回の規制の対象となるかについて明示されていません。つまりグレーゾーンが幅広い範囲で存在すると言うことになります。グレーゾーンの恐いところは、自主規制を生むと言うことです」と、表現規制による創作活動の萎縮と漫画・アニメ文化の衰退を懸念する。

 5月8日の参院予算委で、山田議員は改定案について質問。安倍首相は、改定案が議員立法のため「詳細について私がコメントすることは差し控えたい」とする一方で、「実在しない児童を描写したアニメなどにどのような規制が必要なのかという問題については、こうしたアニメなどが児童を性の対象とする風潮を助長するおそれがあるという一方で、表現の自由との関係もあり、私は慎重な考慮が必要であるということについてはその通りだろうと思う。慎重な考慮が必要である面も踏まえながら、慎重に検討を進めていくべきものだろうと思っている」と述べ、表現の自由との関連から慎重な検討が必要との考えを示している。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -