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» 2013年07月30日 16時02分 UPDATE

初のネット選挙運動は「空振り」? 「Webは情報収集手段としてはほとんど活用されず」──Google調査

ネット選挙運動が解禁された参院選で、テレビやネットへの接触と投票との関係を調査した速報レポートをGoogleが発表。政党の公式サイトを訪問した人は1%程度にとどまるなど、ネット活用は低調だった。

[山崎春奈,ITmedia]

 Google日本法人は7月30日、参院選に関連してテレビやネットへの接触と有権者の投票行動の関係を調査した「ネット選挙動向調査」の速報レポートを発表した。Webサイト経由の情報収集は年齢層の高い男性ほど高く、若年層や女性は活用が少なかったことや、自民党支持者はネット、民主党支持者はテレビでの政治関連情報の接触が多かったことなどが分かった。

 Google日本法人を中心に行われた調査プロジェクトで、関東1都6県に住む20〜59歳の男女約2400人を対象に、視聴したテレビや閲覧したWebサイトを5月23日から約3カ月に渡りトラッキングした。メディア接触のデータと選挙に関する複数回のアンケート結果を合わせ、同一の調査対象の政治への意識を継続的に調査。接触したテレビ番組やWebページのテキストデータの中から、政治や選挙に関連する内容を機械学習で抽出し、政党や政策ごとにカテゴライズした。

photo テレビとWebサイト、それぞれによる政治関連情報接触状況

 選挙前2カ月間に政治情報に触れた媒体としては、テレビ番組が全体の95%に上った一方、Webサイトで情報を得た人は41%に留まった。政党の公式サイト(候補者サイトを含む)を訪れた人も、最も多い自民党で1.1%で、他政党は1%を割り込んでおり、「Webサイトは情報収集手段としてほとんど活用されていないと言わざるを得ない」(同社 マーケットインサイト リサーチマネージャー 巳野聡央さん)という結果だった。

 各メディアでの政治情報への接触回数を性別・年代別に見ると、テレビ番組経由は男女共に年齢層が上がるにつれて増加する傾向が見られた。Webサイト経由では、男性はテレビ同様年齢層が高いほど接触回数も多く、「Webメディアの閲覧者は一般的に若年層の男性が多いが、選挙関連情報に関しては積極的に得ていないようだ」(巳野さん)。女性は、全年代で総じてネット活用が少なかった。

photo 政治関連のテレビ番組接触回数(性別・年代別)
photo 政治関連のWebサイト接触回数(性別・年代別)

 全国比例区の投票政党別にメディア接触回数の違いを調べると、民主党・日本維新の会・みんなの党に投票した人はテレビ経由が多く、自民党・維新・共産党に投票した人はWebサイト経由が多くなった。見ているコンテンツも、民主党支持者はストレートニュース、維新支持者は情報バラエティやワイドショーを、自民党支持者は公式サイトやニュースポータル、共産党支持者はWebマガジンやブログなどの一般サイトを見ている比率が高く、同メディア内でも違いが出る好対照な結果が出た。

photo 政治関連のテレビ番組接触回数(投票政党別)
photo 政治関連のWebサイト接触回数(投票政党別)

 さらに、検索した政党名と投票政党の関係についても調査。自民党(41%)や公明党(41%)は検索した政党名と同じ党に投票した人が4割を超えたが、民主党の場合はわずか10%にとどまるなど、「検索したからといってその政党に投票しているわけではない」(巳野さん)ようで、関連性は見られなかった。

photo 政党名検索と投票先
photo 投票政党ごとの接触メディアの特徴

 今回発表した速報は、テレビ番組の視聴データ(7月21日までの60日間)、閲覧したWebサイトのHTMLソースコード(7月9日までの48日間)、政党関連ワード検索と政党公式サイト訪問(7月18日までの57日間のデータ)を基に分析した。「ネットでの接触は選挙直前になってから増えた可能性もあるので、データ解析が済み次第、支持政党の時系列での変遷や重視する政策などのアンケート回答部分も含めてさらに分析を進めたい」(巳野さん)とした。

photo 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 曽根泰教教授

 同プロジェクトの実行委員長で、アンケートや調査設計を監修した慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の曽根泰教教授は、「無意識な部分も含めたメディア接触のトラッキングと、意識的なアンケートによる世論調査を融合させて分析できたのは研究としても画期的。速報レポートを受け、さらに深堀りすべき点が見えてきた段階なので、相互関係を踏まえてより深い考察につなげたい。現段階の結果では『ネット選挙運動は空振り』という見方もできるが、問題点や改善すべき点が明確にわかった最初のステップとも言える。ネット活用への過剰な期待ではなく、現実的なところからよりよい選挙運動を考えていく糸口になった」と調査の意義について述べた。

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