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8億7000万画素でとらえたアンドロメダ銀河の写真公開 すばる望遠鏡「世界最強」カメラ“開眼”

» 2013年08月02日 18時01分 公開
[ITmedia]
画像 HSCがとらえたアンドロメダ銀河。3つの波長で各10分露出し、RGBとして合成している。国立天文台のサイトでは3.9Mバイトの高解像度画像を公開している

 国立天文台などはこのほど、すばる望遠鏡に昨年搭載した超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam」(HSC)のファーストライトとして撮影したアンドロメダ銀河の全体像を公開した。CCD116枚による「世界最強の巨大デジタルカメラ」で、従来の大望遠鏡ではとらえきれなかった広大な画角を丸ごと1視野に収めながら、拡大すると1つ1つの星もシャープに確認できる。観測効率を高め、ダークマター探索に挑む。

 HSCは国立天文台が中心となり、国内外の研究機関とともに10年以上かけて開発。その核となるCCDセンサーは浜松ホトニクスが国立天文台と共同で開発したもので、メイン104枚にオートガイド用4枚と合焦用8枚を加えた116枚で構成し、画素数は計8億7000万に上る。補正光学系はキヤノンが、主焦点ユニットは三菱電機が担当した。

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 すばる望遠鏡に当初から搭載されている「Suprime-Cam」は、アンドロメダ銀河の一部(満月よりやや広い視野)のシャープな撮影に成功していたが、HSCにより、満月9個分の広さの天域を一度に撮影可能に。試験観測の一環としてこのほど、アンドロメダ銀河を観測した。

 今後はすばる望遠鏡とHSCを活用し、重力レンズ効果を用いたダークマター分布の直接探査などの観測を進めていく。Suprime-Camでは50年以上かかるという観測計画を5年で実施することが可能になり、「ダークエネルギーの謎に迫りたい」(HSC開発責任者の宮崎聡国立天文台准教授)としている。

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