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Apple製品排除命令にオバマ政権が拒否権行使

» 2013年08月05日 07時26分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米通商代表部(USTR)は8月日(現地時間)、米Appleの一部の製品の米国への輸入と販売を禁止した米国際貿易委員会(ITC)の命令を拒否すると発表した。ITCは6月4日、Appleが韓国Samsung Electronicsの特許を侵害しているとしてこの差し止め命令を出した

 この命令は、2011年8月にSamsungがAppleをITCに提訴したことに端を発した米国におけるApple対Samsungの特許戦争における最終決定で、バラク・オバマ米大統領と米通商代表部に送られ、60日のレビュー期間中に承認されれば実施されることになっていた。

 ITCの決定に対して拒否権が行使されるのは1987年以来のことという。USTRのマイケル・フロマン代表はITCのアービング・ウィリアムソン委員長に送った書簡(リンク先はPDF)で、米国における販売競争や消費者への影響を考慮して拒否権行使を決定したと説明している。Appleが侵害したとされているSamsungの通信関連特許(特許番号:7,706,384)は関連製品に必須で標準的ないわゆる「FRAND」特許であり、こうした特許の扱いは慎重に行う必要があるとしている。

 フロマン氏は、この決定は特許保有者であるSamsungの法的救済手段を受ける権利を否定するものではなく、Samsungは引き続き裁判で権利を追求できるとしている。

 Appleはこの決定に対し「米政府がこの重要な訴訟でイノベーションを守ったことを称賛する。Samsungは特許制度を乱用した」という声明を発表した。

 一方Samusngは声明で、USTRの決定を残念に思うとし、「ITCの決定は、Samsungが誠意を持って交渉してきたことと、Appleがライセンス供与を受けようとしないことを正確に認めたものだった」と語った(声明文はいずれもLos Angeles Timesより)。

 ITCの決定が承認されていれば、8月4日から米AT&T版のiPhone 4、iPhone 3GS、iPhone 3、初代iPadとiPad 2の3G版の輸入および販売が停止する予定だった。

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