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» 2014年03月07日 13時58分 UPDATE

浅田真央選手の軌跡を描く朝日新聞デジタル「ラストダンス」ができるまで 新聞社にしかできないコンテンツ目指して (1/3)

ソチ五輪・フィギュアスケート女子の試合終了直後、朝日新聞社のサイトに掲載された特設コンテンツ「浅田真央 ラストダンス」。浅田選手の言葉や歩みとともに、五輪での圧巻の演技を振り返る、ニュース性とデザイン性の高いコンテンツはSNSを中心に一気に拡散した。「新聞社にしかできないWebコンテンツを目指して」――制作の裏側を聞いた。

[山崎春奈,ITmedia]

 「浅田真央 ラストダンス」。ソチ五輪・フィギュアスケート女子の試合終了から約24時間後の22日未明、「朝日新聞デジタル」に浅田真央選手の歩みと五輪での演技を紹介する特設ページがオープンした。デザイン性が高く、写真や音楽を用いた読み応えのある内容は、まだ昨夜の熱狂が残るファンのあいだですぐに話題になり、一気にSNSで拡散。ページビュー(PV)は3日間で100万を超え、Facebookのシェア数は7万以上、ツイート数は1万以上に上った。

photo

 「新聞社にしかできないWebコンテンツを目指して」――制作を担当した同社デジタル編集部の古田大輔さん、白井政行さん、佐藤義晴さんに、込めた思いを聞いた。

「浅田選手の“ラストダンス”を飾りましょう」

 「やっぱり浅田選手でやりましょう、“ラストダンス”を飾りましょう」――デジタル編集部の記者、入尾野篤彦さんから企画が持ち上がったのは昨年11月ごろ。ソチ五輪の結果をリアルタイムに入れ込み、ニュース性とデザイン性が両立した特集コンテンツ──というプランだ。通常、同様のコンテンツは数カ月〜半年程度の時間をかけて制作されるケースが多いというが、ソチ五輪の熱気の渦中に公開することにこだわった。企画が立ち上がった時点で残りは3カ月。プロジェクトのとりまとめることとなった古田大輔さんとデジタル編集部にとっても大きな挑戦だった。

photo 12月時点の企画書

 思いを込めて制作するテーマとして、この五輪を“集大成”として掲げていた浅田真央選手の過去と現在を選んだのは自然な流れだった。ソチ五輪に至る彼女の姿、これまでのスケート人生を読み物でなぞり、ビジュアルで“ラストダンス”をあますことなく見せる。3部構成とタイトル「ラストダンス」はすぐに決まった。

 目指したのは、とにかくシンプルであること。技術的に高度なことを追求するのではなく、浅田選手を応援する多くの人が共有している物語と世界観を表現し、没入してもらいたかった。実際に制作を始めたのは1月末。公開まで約1カ月というスケジュールで完成させられたのは「ここまでデジタル編集部が重ねてきたノウハウ」と話す。

「日本の新聞社ではやらないのか」と聞かれるが……

photo 「Snow Fall」

 視覚的なギミックを盛り込んだWeb特集の世界的なテンプレートとなっているのは、米New York Timesが2012年12月に公開した「Snow Fall」だ。同年5月にワシントン州で起こった雪崩事故に関して、ドキュメンタリー風の記事、数多くの写真や動画、地図やCGなどを駆使し、縦に長くスクロールするパララックスというスタイルで迫っているこの特集は公開直後から話題を呼び、昨年5月にはピューリッツァー賞を受賞した。この成功をきっかけに、世界各国のメディアで同様の試みが登場している。

 朝日新聞が「Snow Fall風」のWebコンテンツを初めて掲載したのは昨年5月、瀬戸内国際芸術祭の特集だった。技術的にチャレンジングな要素を入れながら約半年をかけて制作したという。その後もいくつかの事例で同様のページを作成し、制作ノウハウを貯めてきた。

 「海外の事例を引き合いに出し『日本の新聞社はやらないのか』と言われることも時たまあるが、日々積極的に取り組んでいる。とはいえ、まだまだ認知度が低いのも事実。国民の関心が高く、物語性も強いフィギュアスケートはこの形式で伝える題材としてぴったりだと思った」(古田さん)。

 かくして、デジタル編集部の記者とエンジニアに加え、数年にわたりフィギュアスケートの取材を続けているスポーツ部の後藤太輔記者、普段は新聞紙面に携わるデザイン部、現場の温度感や緊張感をよく知る写真部――など、部署を横断的に巻き込んだプロジェクトは動き出した。

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