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任天堂のAWS導入事例 「すれちがい通信中継所」や「Miiverse」に活用

» 2014年03月07日 18時54分 公開
[ITmedia]

 Amazon.comが提供するWebサービス群「Amazon Web Services」(AWS)の導入事例紹介ページに、任天堂の事例が掲載された。「ニンテンドー3DS」や「Wii U」向けサービスでのAWS活用について解説している。

 3DSやWii Uなどのネットワークサービスでは、(1)ソフトの発売直後やクリスマスなどにトラフィックが急増する、(2)日本だけでなく北米や欧州など世界のユーザーを考慮してシステムを構築する必要がある――という課題があり、オンプレミスの運用体制だけでは対応が難しかったという。

 同社は2010年末、3DS発売に向け、初めてAWS導入を決定。3DS向けオンラインストレージ機能「DataStore」で、クラウドストレージサービス「Amazon S3」を活用した。スケーラビリティの高さと、保存したデータが厳重に保護されることが採用の要因だったと説明している。

 DataStore機能は13年12月現在、「マリオカート 7」「ポケットモンスターX・Y」など約40種類のソフトで利用されており、利用頻度の高いソフトでは、8000万件以上のデータが、90日間の保存期間中に登録されているという。AWSの活用により、DataStore機能への投資コストは、オンプレミスで行うケースで想定していた金額と比較して10分の1程度に抑えられたとしている。

画像 Miiverseシステムアーキテクチャ概要全体図

 11年秋には、Wii U用のアバターネットワークサービス「Miiverse」プロジェクトが開始。1年ほどの準備期間内に、日本、北米、欧州の各地域をシームレスに結び、どこからでも快適なレスポンスが得られるサービスを構築する必要があり、ワールドワイドのサービス網を持つAWSの採用を決めたという。

 Miiverseプロジェクトでは、AWSに実績のあるはてなに開発を委託し、両社のエンジニアがチームを組んで進めた。バーチャルプライベートクラウド「Amazon VPC」を活用し、各地域をシームレスにVPN接続。13年12月現在で「Amazon EC2」のインスタンスを約1000台運用しているほか、Webサーバの負荷分散のために「Elastic Load Balancing」を100以上運用。ユーザーデータ保存用に「Amazon S3」も利用している。サーバやネットワーク、アプリケーションを冗長化し、サービスの継続性も高度に確保できているという。

 13年8月にリリースした「すれちがい通信中継所」のシステム構築にもAWSを全面的に採用。データウェアハウスサービス「Amazon Redshift」をあわせて活用したことで、必要に応じてリソースを柔軟にスケールでき、分析側の作業にかかるコストが著しく抑えられたという。

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