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「小保方氏はねつ造・改ざんに当たる研究不正を行った」 理研の調査委が判断

» 2014年04月01日 10時36分 公開
[ITmedia]

 理化学研究所は4月1日、所属する小保方晴子氏などの研究グループが英科学誌「Nature」に発表した「STAP細胞」の論文に不自然な点が相次いで指摘された点について、調査委員会による報告書を発表した。小保方氏について「ねつ造・改ざんに当たる研究不正行為を行った」と判断し、「研究者倫理とともに科学に対する誠実さ・謙虚さの欠如が存在すると判断せざるをえない」と指摘した。

 小保方氏が学位論文の画像に酷似した画像を論文1に使用したことについて、「ねつ造にあたる研究不正を行った」と判断。「STAP細胞の多能性を示す極めて重要なデータであり、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根本から壊すものであり、その危険性を認識しながらなされたものであると言わざるをえない」と指摘した。

photophoto 論文1で学位論文の画像を流用=理研の説明資料より

 また論文1で電気泳動画像を切り貼りしたことについても「改ざんにあたる研究不正を行った」と判断した。「データの誤った解釈を誘導する危険性を生じさせる行為」とし、「データの誤った解釈へ誘導することを直接の目的として行ったものではないとしても、そのような危険性について認識しながらなされた行為であると評価せざるをえない」と判断した。

 共著者で、理研発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の笹井芳樹副センター長、以前理研CDBに所属していた若山照彦山梨大学教授については、「ねつ造に関与したものではなく、研究不正行為はなかった」としたが、「データの正当性と正確性等について自ら確認することなく論文投稿に至っており、その責任は重大」と判断。共著者で理研CDBの丹羽仁史プロジェクトリーダーについては、論文作成の遅い段階でこの研究に参加しており、研究不正行為は認められなかった」としている。

 調査委は報告書で「このような行為やずさんなデータ管理の背景には、研究者倫理とともに科学に対する誠実さ・謙虚さの欠如が存在すると判断せざるをえない」と指摘。理研に対してはチェック機構が働かなかったことの検証に加え、研究の立案から実施、成果の取りまとめと発表に至るまでのプロセスを点検し、不正の再発防止に必要な具体的措置を早急にとるべきとした。

 理研は4月1日午前から午後にかけて都内で会見し、詳細を説明する。

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