キヤノンマーケティングジャパンは4月10日、米3D Systemsと協業し、3Dプリンタのラインナップを強化すると発表した。同社が扱う3D CADソフトや、現実の映像とデジタルデータをリアルタイムに合成するMR(Mixed Reality)システムなどと組み合わせ、データ作成から活用まで一貫して扱う「3Dソリューション事業」として包括的に展開していく。
3D CADソフトでの設計、MRシステムでの大きさを含めた全体感の確認に加え、実際に出力し、触感や見た目を検証する手段として3Dプリンタの提供を始める。キヤノンITSが開発するMRシステム「MREAL」を搭載したヘッドマウントディスプレイは2012年夏から販売しており、導入企業は20社以上。製造業が49%を占め、大手自動車メーカーや建設・建築関係などの設計・デザインに利用されているという。
導入先からの要望として「作成したデータを出力したい」「映像で確認するだけでは物足りない」という声が寄せられており、出力手段としての3Dプリンタの提供を決めた。データ作成段階の支援として、3Dスキャナの取り扱いも現在進めており、年内にはスタートできればという。
3Dプリンタのラインアップは個人向けの50万円程度のものから3000万円をこす高級機種までそろえるが、ソリューションとして法人向けに提供するメインレンジは1000万円前後を想定。最小表現サイズ16μメートルと高精度で部品やパーツの再現に適したアクリル樹脂出力タイプや、形だけでなく色もコピー・再現するフィギュア作成やデザイン確認に適した石こう出力タイプなど、用途に合わせて提供する。
同社の梶山良幸ドキュメントソリューション企画本部ソリューション企画課長は「3Dプリンタ市場全体が右肩上がり。世間的な注目も集まっており、導入企業の増加につれて活用の幅も広がっていくはず。3Dソリューションを事業の柱の1つに育て、2016年度に国内シェア20%、売り上げ100億円を目指す」と意気込む。
3D Systemsは、1986年に世界で初めて光造形技術を製品化した米国企業。売り上げ/シェアともに世界トップの企業と組むことで競争力と提案力を高めていく狙いだ。日本法人の小林広美マネージャーは「キヤノンMJの強みは、全国に営業やサポートの土台がある規模の大きさ。全国レベルで拡販していきたい」と話している。
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