マウスの生体の脳を試薬を使ってほぼ完全に透明化する技術を開発したと理化学研究所が4月18日、発表した。透明化により脳全体の3次元イメージを細胞1つ1つのレベルで容易に取得できるようになり、脳活動の解析に役立つとしている。成果は「Cell」(4月24日号)に掲載される。
2011年に開発した、尿素を使った透明化試薬「Scale」をもとに、透明化に最適な組成を検討したところ、尿素に加え、アミノアルコールを含む組成が脳を透明化する活性が高いことを発見。試薬にサンプルを浸すだけでほぼ完全に透明化でき、再現性も高く複数のサンプルをほぼ同等の条件で比較できるのも特徴という。
透明化したことで、「シート照明顕微鏡」(横からレーザー光を照射してサンプルの平面を撮影し、これをZ方向に重ねることで3次元イメージを得られる顕微鏡)による3次元イメージングが可能になった。1細胞解像度によるマウスの脳のイメージを1時間ほどで取得できたという。
新技術を使い、マウスが光を受けて活動する脳の領域を網羅的に同定することに成功した。新技術は「CUBIC」と名付けた。
小型のサルの脳など、大きなサンプルも透明化して3次元イメージを取得できることも分かったという。生物学・医学に大きな貢献が期待できるとしている。
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