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角川会長「ようやく、川上さんという若い経営者を手にした」 新会社「KADOKAWA・DWANGO」の目指す姿は(1/2 ページ)

» 2014年05月14日 19時52分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「プラットフォームとコンテンツ、双方を提供してきた会社が1つになる」――ドワンゴの川上量生会長は5月14日、KADOKAWAとの経営統合を発表した記者会見でこう述べ、両社の親和性の高さを強調した。KADOKAWAの角川歴彦会長は「ようやく私は、川上さんという若い経営者を手にしたんだと思う」と感慨深げに語り、川上会長の経営手腕に大きな期待を寄せた。

ドワンゴの技術力をKADOKAWAに 「日の丸プラットフォームを」

画像 左から松原眞樹・KADOKAWA社長、角川歴彦・KADOKAWA会長、佐藤辰男・KADOKAWA相談役、川上量生・ドワンゴ会長、荒木隆司・ドワンゴ社長

 両社で統合持ち株会社「KADOKAWA・DWANGO」を10月1日付けで設立し、2社が100%子会社として傘下に入る形。新会社の社長にはKADOKAWA相談役の佐藤辰男氏、会長にはドワンゴの川上会長が就任し、角川会長は取締役相談役に就く。株式移転比率はKADOKAWA1.168に対してドワンゴが1。ドワンゴへの評価の高さを指摘する記者に対して、角川会長は「おっしゃる通り、ドワンゴを高く評価しています」とにこやかに答える。

 KADOKAWA側が期待を寄せているのは、ニコニコ動画のプラットフォームとしての存在感やドワンゴの技術力、川上会長の経営手腕だ。「KADOKAWAはデジタル・ネット企業になりたいと努力している。ドワンゴはニコニコ動画というたいへんな資産を持つすぐれた技術集団だ」(角川会長)。統合後は、KADOKAWA出身の編集者の隣にドワンゴ出身の技術者が座り、コンテンツと技術を融合したサービスを提供するイメージだ。

 ニコニコ動画発のCGMコンテンツを、KADOKAWAの編集力でビジネス化する取り組みも進める。「ボカロ小説などニコニコ動画発の創作物が角川の出版物の重要な部分を占めるようになったことも、統合の大きなきっかけになった」(角川会長)。協力して新ネットメディアも展開。ドワンゴの情報展開力とKADOKAWAの取材・編集力を融合し、ばく大なページビューのメディアを構築し、広告収入を伸ばすという。

 「日の丸プラットフォームを両社で作ろう」(角川会長)――海外のコンテンツやサービスとの競争が激しくなる中、世界に通用する「オールジャパンプラットフォーム」構築に向けて手を携える。「ニコニコ動画というメディアはYouTubeに対抗できる。クールジャパンをリアルで推進してきた角川と、ネットから推進してきたドワンゴが一緒になる。21世紀のイノベーションを実現しないといけない」(角川会長)

囲い込まず、オープンに

 新会社は、KADOKAWAのコンテンツやドワンゴのプラットフォームに固執せず、各社のコンテンツ・プラットフォームとオープンに付き合っていきたいという。「統合後もKADOKAWAはYouTubeにコンテンツを提供するだろうし、われわれもKADOKAWA以外のコンテンツもやる。囲い込むための統合ではなく、オープンな統合だ」(川上会長)

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