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ホテルでも旅館でもなく民家にステイ 空き部屋を貸し出す外国人旅行者向け宿泊マッチング「TOMARERU」

» 2014年05月22日 18時52分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 賃貸仲介のエイブルとベンチャーのとまれる(東京都千代田区)は5月22日、訪日外国人旅行者向けに一般の空き家や空き部屋を貸し出すマッチングサービス「TOMARERU」を今年秋に始めると発表した。宿泊施設についての規制を緩和する特区の設置を受け、都内9区など全国6都市で展開する。

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 家具や寝具、食器類、キッチン用品などのそろったショートステイに適した民家に1〜2週間程度滞在できる、外国人旅行者向けサービス。ホテルや旅館よりもリーズナブルに、より日常に近い形でリラックスして過ごせるとうたう。PC/スマホサイトから宿泊予約を行い、物件オーナーと直接メッセージでやりとりすることもできる。

 宿泊料金はルームチャージ形式でオーナーが決定でき、物件の条件によるが「ホテルに連泊するよりは安くなるのでは」(とまれる 三口聡之介社長)。とまれる側の手数料として、10%が徴収される。

photo とまれる 三口聡之介社長

 世界では同様の「AirBnB」が利用を伸ばしているが、日本で一般民家を旅行者の滞在用に提供するサービスは初めてという。アベノミクスの成長戦略の核として制定された「国家戦略特別区域法」の中で、広さや設備、環境など一定の条件を満たした物件を「旅館業法適用除外」として認定し、宿泊施設として提供できるようになったことで実現した。

 同法特区である東京9区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区)、千葉県成田市、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県で展開していく。

 現在物件オーナーを募集しており、今秋のサービス開始時点で1000件、来年3月には3000件の宿泊先登録を目指す。各自治体の状況を見ながら、順次サービスを始めていく。

 日本を訪れる外国人旅行者数は増加傾向で、2013年は1036万人と過去最高を更新。団体旅行から個人旅行へのシフト、観光だけでなく体験の重視などの傾向が見られ、同サービスは「自分らしい旅を楽しみたい旅行者に需要があるのでは」――と、三口社長は見込む。2020年の東京オリンピックに向け、都市全体として受け入れ数を増やす意味でも環境整備は急務だ。

photo エイブル 梁瀬泰孝社長

 旅行者への新たな選択肢としてはもちろん「空き家や賃貸住宅の活用法としても期待される」とエイブルの梁瀬泰孝社長は話す。サービス提供エリア全体で、自社の管理物件として約12万件を抱えており、空き物件率は10%ほど。具体的な物件登録や契約のプロセス、利用時のトラブル対策などを検討しつつ、「不動産業の新たなチャレンジとして試行錯誤しながら取り組んでいきたい」とした。

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