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シェア50%の新生J:COM、スマートテレビやスマホ/タブレット連携など強化

» 2014年05月26日 19時14分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 KDDI傘下のCATV事業者・ジュピターテレコム(J:COM)は5月26日、事業計画を発表した。4月にジャパンケーブルネット(JCN)を経営統合し、CATV市場シェアは50%に。地域密着型サービスの強化を掲げるほか、タブレット/スマートフォンへの同時放送やAMラジオの同時再放送、4K試験放送など新サービスにも取り組む。

photo ケーブルテレビ市場のシェア

 新生J:COMのケーブルテレビ加入数は、約400万世帯とシェア50%の国内最大手に。6月からJCN各局もJ:COM局に名称変更し、全国31社74局体制で番組制作を進めていく。今年度(14年12月期)は、売上高5000億、営業利益900億、純利益500億超を見込む。

 地域密着による生活サポートを目指し、CATVの活用シーンを増やす施策を強化。「Smart TV Box」と「Smart J:COM Box」によるスマートテレビサービスは3月時点で契約者22万件を突破。「Smart J:COM Box」はJCNエリアでも今夏から提供開始予定だ。タブレットアプリ「くらしのナビゲーション」は、地域のイベント情報や口コミ、行政からの情報を手軽に見られるのを売りに、積極的にプロモーションを強化していく。

photo マンション向け電力サービス

 同社が購入した高圧電力を電力会社より安価な価格で居住者に供給し、J:COMの放送・通信サービスを契約するとさらに割安になるマンション向け電力サービスも主要施策の1つに。請求書や問い合わせを一本化し、電気代節約をフックに新規顧客の獲得や解約防止を目指す。4月末時点で32棟、1887世帯に導入しており、今後さらに拡大していく。

 直近の新サービスでは(1)タブレット/スマートフォンへの配信、(2)地域密着番組のラジオ局とのコラボレーション、(3)4K試験放送の開始――を予定している。

photo タブレット/スマホへの同時放送サービス
photo ラジオ局とのコラボ

 タブレット/スマートフォンへの配信では、ネット経由でストリーミングによる視聴が可能で、宅外で楽しむことも可能だ。プロ野球リーグ戦の一部を対象に4月から始まっており、7月にはアニメ系やニュース系などに拡大する。

 ラジオ局とのコラボでは、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送による地元密着番組を、J:COMテレビのデータ放送の仕組みを使って5月27日からスタート。有料チャンネル加入者以外も試聴でき、首都圏の約441万世帯にリーチする新しいラジオの触れ方になるのでは――と期待を寄せる。他エリアでの協業も検討を進めている。

photo 4K試験放送の仕組み
photo 牧俊夫社長

 4K試験放送は6月2日に開始。トライアル用の4K対応STBを通じ、秒間60フレームの4K映像をRF方式/IP方式で伝送する。より多くの一般視聴者の目に触れることを目的に、他のケーブルテレビ会社35事業者にも配信し、ジェイコムショップ店頭にも受信機を設置。牧俊夫社長は「一般家庭で視聴できるようになるのは2016年ごろと見込んでいる。企画力を生かし、高画質で楽しんでもらえるコンテンツをそろえていきたい」と話す。


photo 森修一会長

 各社がしのぎを削るMVNO事業に関して森修一会長は、「具体的なサービス形態などは未定だが、他社に負けないよう早急に取り組んでいきたい」と今後の展開を示唆する。

 牧社長は「地域の公共的な情報インフラとしてケーブルテレビの役割は増大していくのでは。身近なテレビというツールで、地域の高齢者の方にも安心してIT技術を利用してもらう環境を整えていく」と話している。

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