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» 2014年05月30日 19時34分 UPDATE

青少年の被害が急増「ID交換掲示板」 業界団体が実態調査

メッセージングアプリでやり取りする相手を探す「ID交換掲示板」をきっかけに青少年が犯罪被害に遭うケースが急増している。業界団体は実態調査をもとに、掲示板アプリのレーティングなどについてAppleなどにも協力を求めていく。

[山崎春奈,ITmedia]

 「LINE」など無料メッセージングアプリでやり取りをする相手を見つける「ID交換掲示板」アプリの実態を調べた結果を、モバイル関連企業などで構成するモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)が公表した。ID交換掲示板を発端として青少年が性犯罪などの被害に遭う事件が急増しているとして、アプリストアを運営するAppleなどにも協力を求めてく。

photo 出会い系サイトとコミュニティーサイト、それぞれをきっかけとした被害数の推移

 ID交換掲示板は、メッセージや通話で1対1のやりとりをする相手を見つけるアプリやWebサイトの通称。ユーザーがIDを公開し、面識のない相手と知り合うことができるようになっている。趣味や居住地が近い仲間を募集するための場だが、「出会い系サイト」に類する売買春を想起させる内容や、18歳未満の書き込みも日常的に行われているという。

 通話アプリ運営元が開設した公式のものはなく、全て非公式。昨年1月にカカオトークが注意を呼び掛けた際は30以上を確認したという。通話アプリ各社は「思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がある」として利用しないよう呼び掛けているが、実際には未成年者を含め利用者はそれなりの規模に上っているとみられる。

 SNSなどコミュニティーサイトがきっかけとなって犯罪被害に遭った青少年は2011年から減る傾向にあったが、昨年は過去最多の1293人に。特にID交換掲示板を発端とした事件が昨年だけで352人に上り、前年の36人から急増した。

 ID交換掲示板は、オープンな場所で知り合った後、すぐにクローズドな1対1のコミュニケーションに入ってしまう点が犯罪につながりやすいという。通話アプリ上では第三者の目も届きにくく、状況が悪化する可能性が比較的高いためだ。

「18歳以上」は建て前に

 同機構は昨年11月〜今年1月にかけて実態調査を実施。対象はアプリに絞り、ランキング上位のものを中心に100のアプリを確認し、うち30について投稿内容や運営の様子などを調べた。

 問題点として浮かび上がったのは(1)居住地域、年齢、性別を登録させ、これを条件に検索できるようになっており、実際に会うことを前提に悪用されやすい、(2)異性との出会い目的を規約で禁止しているものの、出会いを求める投稿や売買春目的の書き込みが削除されずに放置されている──といった点。「18歳以上」を対象と明記しながらアプリのダウンロード時に年齢確認がなかったり、アプリ内にアダルトコンテンツなど青少年に不適切な広告が掲載されている例も目立ったという。

 LINEは18歳以下のユーザーをID検索で検索できないようにするといった対策に取り組んでいるが、掲示板ではQRコードやURLを使ったり、他サービスを連絡先にするといった手段ですり抜けるケースもあるという。

photo 子どもの所持する携帯電話の名義

 子どもの携帯電話は親の名義で使われていることも多く、携帯キャリアが持つ年齢データが実際とは異なるケースが多いのも年齢規制を難しくしている。昨年下半期にコミュニティーサイトをきっかけに犯罪被害に遭った青少年のうち、携帯の名義が本人だったケースは17.2%で、親名義が77.5%だったという。

 保護者にはフィルタリングサービスの利用や、ID交換掲示板に限らず個人情報を安易に公開することの危険性を指導するよう呼び掛ける。一方で、こうしたアプリを配信しているアプリストアにも協力を求める。アプリに適切な年齢制限を行うようAppleと協議しているほか、今後Googleとも何らかの形で情報交換を進めたいという。

 吉岡良平事務局長は「もちろんメッセージアプリが悪いわけではなく、新しいツールが出てきた時に状況に合わせてさまざまな立場から危機回避の方策を考えなくてはいけないということ」と話す。今後、より広範に詳細な調査を行う予定だ。

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