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人工知能の13歳の少年、チューリングテストに“合格”史上初

» 2014年06月09日 09時45分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 英レディング大学は6月8日(現地時間)、アラン・チューリング博士没後60周年に当たる7日に同校が英王立学会で開催した「Turing Test 2014」において、チューリングテストの初の合格者が出たと発表した。

 合格したのはウクライナ在住の13歳の少年、ユージーン・グーツマンくんという設定のプログラム。ユージーンくんは2001年にロシア人のウラジミール・ヴェセロフ氏(米国在住)、ウクライナ人のユージーン・デムチェンコ氏(ロシア在住)らが構築した。これまでも多数のチューリングテストイベントに参加して改良を重ねられてきた。

 チューリングテストは、「コンピュータの父」と呼ばれる20世紀の英数学者、アラン・チューリング博士が提案した、人工知能を知的と呼べるかどうかを判断するためのテスト。人間が人工知能と対話して、相手が人工知能か人間か判断できなければ、その人工知能は思考しているといえるというもの。チューリング博士は、5分間のテストで人間の審判の30%をだませれば、人工知能は思考しているといえるとした(Wikipediaより)。

 今回のテストで、審査員の33%(審査員の人数は不明)がユージーンくんを人間だと判断した。

 テストは5分間のテキストチャットで行われ、質問はあらかじめ用意されたものではなく、審査員は自由に質問し、会話できた。

 turing 1 テストはテキストチャットで行われた

 レディング大学の客員教授、ケビン・ワーウィック氏は発表文で、「これまでにもチューリングテストに合格した人工知能はあると主張する向きもあるだろうが、今回のテストは非常に厳格なものであり、この合格者が初のチューリングテスト合格者であると誇りを持って宣言する」と語った。

 ユージーンくんの開発チームを率いるヴェセロフ氏は、人間らしい性格の開発に時間をかけたと説明した。13歳のユージーンくんは自分は何でも知っていると主張するが、実際に質問してみると(13歳としては当然のように)知らないこともある。また、質問に単純に回答するのではなく、人間らしい会話を可能にする“ダイアログコントローラー”の改善に注力したという。

 設定では、ユージーンくんの父は婦人科医で、ペットとしてビルと名づけたモルモットを飼っている。

 ユージーンくんとはPrinceton Artificial Intelligenceのページで会話できるはずだが、本稿執筆現在、アクセスできなくなっている。

 turing 2

 なお、LinkedInによると、ヴェセロフ氏は現在、米Amazon.comでソフトウェア開発エンジニアを務めている。

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