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海外女子に日本の最新ファッションを 写真SNS「Snapeee」で「Vivi」「With」を公式配信 フィルタやスタンプで誌面を“デコ”

» 2014年08月07日 16時12分 公開
[山崎春奈,ITmedia]
photo Snapeee上でファッション誌を配信

 写真共有SNS「Snapeee」で、講談社の女性向けファッション誌のコンテンツをスマホ向けに再編集し、海外、特にアジアのユーザーに届ける共同事業がスタートした。開発を手がけるマインドパレットはグローバル・ブレイン、講談社、環境エネルギー投資の3社から4億円を調達。今後も出版物との協働を進めていく。

 「Snapeee」は豊富なスタンプやフィルタで加工した“デコ”写真をテーマごとに投稿できる写真共有SNS。810万人以上の上るユーザーの約8割が海外ユーザーで、特に台湾や中国、タイなどアジアで人気が高い。20〜30代の女性を中心に、スイーツやファッション、ネイルなどの写真が日々投稿されている。

 講談社との共同事業は、最新トレンドや「かわいい」に敏感なユーザーが多い強みを生かしたもの。最新号のファッションアイテムや着こなし、メイクなど誌面に使われている写真をSnapeeeを使って“デコ”り、公式アカウントを通してユーザーに届ける仕組みだ。自らもSnapeeeを愛用する同社の女性スタッフが1つずつ加工し、ユーザー目線で商品やモデルの魅力をアピールする。

 これまでも企業やタレント単位での「公式アカウント」を開設し、ECサイトへの誘導や写真テーマを設定したタイアップ企画などを展開してきた。今回の共同事業では、既存雑誌の掲載内容をスマホ向けに再編集しているのがポイント。デジタルメディアに再配信するための権利処理や複数回のテストマーケティングなど、1年半ほどかけて準備してきたという。

 神尾隆昌社長は「既にテレビや雑誌に匹敵するマスメディアに成長しているスマートフォンというメディアのユーザー特性に合わせ、ファッション雑誌の魅力あるコンテンツをさらに進化させたい。単なる転載ではなく新たな媒体を作る挑戦と考えている」と意気込む。

photo 「vivi」誌面の写真を加工してSnapeeeのテイストに合うように
photo 「with」はヘアカタログに特化

 7月末のスタートからわずか数週間だが、反応は上々。最新アイテムを紹介する投稿には、多いもので5000以上の「プッシュ」(「いいね!」に当たる)が寄せられている。紙の雑誌では季節の先取りは当たり前だが、スマホコンテンツで8月に紹介するなら秋物よりも水着――など、より生活に密着し、購買や行動にも結びつきやすいメディア特性に合わせてコンテンツを選択し、毎日数点ずつ継続的に更新している。

 コメント欄には英語や中国語も目立ち、海外ユーザーからの関心も高いのが分かる。日本のファッション雑誌は海外でも翻訳・販売されており、ファンにはモデルやブランドの名前は浸透してるようだ。現地版の雑誌発行に必要なローカライズのタイムラグなく、最新号のコンテンツを閲覧できるのも喜ばれている点だという。

 今後、同様のスキームで提携出版社や雑誌の拡大を見込む。「日本から発信するだけでなく、海外のコンテンツを同じように展開する可能性も考えられますよね」(神尾社長)――日本のファッションと並んで、台湾やインドネシア、ブラジルなど異国の最新トレンドをスマホで知る時代が来るかもしれない。

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