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「バイオハザード6」を生んだ3DCG制作手法とは――カプコンのアーティストが披露

» 2014年10月09日 12時00分 公開
[大山貴弘,ITmedia]
photo スカルプトモデリングで作られた3Dモデルの1例

 3Dプリンタや3Dデータ共有サイトなどに注目が集まる今、自ら3Dモデルを制作したいと考える人も少なくないだろう。プロの現場ではどのように3DCG制作が行われているのか――東京・新宿でこのほど開かれたクリエイター向けイベント「Wacom Creative Seminar」では、「バイオハザード5 Alternative Edition」「バイオハザード6」「FolksSoul」などの有名ゲーム作品のアートワークを手掛けたカプコンの黒籔裕也リードアーティストが登場し、実際の作品制作の様子を紹介していた。

 今回披露されたのは、ペンタブレットなどを使って“粘土をこねるように”3Dモデルを造形していく「スカルプトモデリング」と呼ばれる手法。黒藪さんはワコムのペンタブレット「Intuos Pro」とスカルプティングソフト「ZBrush」を用いた3DCG制作の様子を紹介し、会場に集まったクリエイターの注目を集めていた。

クリーチャーの多くは「実在するもの」をモデルに制作 プリセットツールもフル活用

photo ZBrushについて解説する黒藪さん

 バイオハザードシリーズやFolksSoulで主にクリーチャー(生物)のアートワークを担当している黒藪さん。「モデリングを行う際は、実在するものを参考にイメージや質感を考えていくことが多い」とキャラクター造形の秘けつを明かす。

 黒藪さんがZBrushを用いた3Dモデリングを始めたのは、2007年8月にリリースされた「ZBrush 3.1」から。作品制作に当たっては、ソフト内の仕組みを最大限に活用して3Dモデリングを行っているという。

 その具体例が「用意されているマテリアルの活用」だ。ZBrushでは何もない状態から3Dモデルを制作することもできるが、さまざまな種類のマテリアル(造形要素)がプリセットで用意されている。黒籔さんはゼロから3Dモデルを制作するのではなく、用意されたマテリアルに盛り付けていく形で3Dモデリングを行っているという。

photophoto 黒籔さんは全てZBrushでモデリングしたという騎士のスカルプトデータを例として挙げ、各種3Dブラシツールの使用シーンを紹介した

 3Dブラシツールも用途に応じて細かく使い分けているという。黒藪さんが主に使っているZBrushの3Dブラシは「Clay Buildup Brush」「Clay Tubes」「Move Elastic」「Move Topological」「Dam Standard」「Snake Hook」の6種類。中でもClay Buildup BrushとClay Tubesについては「その名の通り、粘土を盛りつけるような操作性で“アナログ”に近い感覚でモデリングできる」と話していた。

photophoto 黒藪さんがZBrushで制作したさまざまな3DCGモデルが披露された
photo セッション終了後は参加者からモデリング手法などに関するさまざまな質問が寄せられた。「モデリングする際に普段使っているレンズは何ミリぐらいか」という質問に対しては、「ZBrushでモデリングしている時はカメラのミリ数をあまり気にしていない。実はパースペクトビューも切っている。ゲームを作っているので、ゲームエンジンに出力した時のパースペクトの掛かり方と一致するようにしている」(黒藪さん)と回答していた

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