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iPS細胞が皮膚細胞の老化をリセット テロメア長が回復 コーセー、化粧品への応用を研究

» 2014年10月16日 15時22分 公開
[ITmedia]

 コーセーは、ヒトの皮膚の細胞から作成したiPS細胞(人工多能性幹細胞)で、老化の痕跡である「テロメア」と呼ばれる染色体の部分の長さが回復していることを明らかにしたと発表した。iPS細胞が老化による皮膚ダメージをリセットすることが分かったとして、老化メカニズムの解明や、次世代化粧品への応用研究を進める。

 iPS細胞は、様々な細胞に分化し、増殖する万能性を持つ幹細胞。ヒトの皮膚などの細胞に遺伝子などを導入して培養することで、未分化の多能性幹細胞に「初期化」できる。研究では、既に老化した細胞を初期化した場合にどの程度回復されうるのかという点に着目した。

 テロメアは染色体の両端にある。細胞分裂とともに短くなっていき、限界を超えて短くなると細胞分裂が止まってしまう。このため、テロメアの長さは老化の指標として知られている。

photo 研究のイメージ=ニュースリリースより

 研究で使用したiPS細胞は、同じ人の36歳から67歳の異なる時点で得た皮膚繊維芽細胞から、京都大学iPS細胞研究所と、同社研究顧問で元同研究所特任教授の加治和彦氏が共同で作成した。元となる細胞とiPS細胞のテロメアを比較すると、iPS細胞のテロメアはどの年齢の時点でも長さが回復していることが分かった。

photo テロメアの長さが回復していた

 またどのiPS細胞も、表皮を構成する細胞に正常に分化させることに成功。細胞の老化の痕跡が初期化の過程で取り除かれ、iPS細胞の機能にも影響を及ぼさない可能性が示唆されたとしている。

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