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“日本消滅”レベルの巨大噴火、今後100年内に発生確率「1%」 神戸大

» 2014年10月23日 18時17分 公開
[ITmedia]
photo 災害の発生確率と危険度=ニュースリリースより

 最悪で1億人以上が生活不能になる“日本消滅”レベルの「巨大カルデラ噴火」が起こる確率は今後100年間で1%──神戸大学大学院の巽好幸教授らは、日本列島で過去12万年間に起きた火山噴火の規模と頻度を統計的に解析した結果、こうした知見が得られたと発表した。「いつこのような巨大噴火が起こっても不思議ではない」として、原因となるマグマ溜まりを正確に観測する必要があるとしている。

 巨大カルデラ噴火は、大きな窪地(カルデラ)の形成を伴う。縄文時代の約7300年前に鹿児島県南部で起きた「鬼界アカホヤ噴火」はマグニチュード8.1という規模で、この影響で少なくとも南九州地方の縄文文化は壊滅し、回復には1000年近くかかったとされている。

 過去12万年間に起きたマグニチュード4以上の噴火合計447回について「ワイブル関数」によって統計的に解析。将来の発生確率について求めたところ、マグマなど1000億トン以上を噴出するマグニチュード7クラスの噴火が起きる確率は今後100年間で1%とした。これは「阪神・淡路大震災が起きる前日の時点で30年以内に同震災が起きる確率」と同程度で、「すなわち、いつこのような巨大噴火が起こっても不思議ではない」という。

photo 巨大カルデラ火山の分布と巨大カルデラ火山噴火の「最悪のシナリオ」=ニュースリリースより

 巨大カルデラ噴火が九州で発生したと想定した場合、数百度という高温の火砕流が噴火から2時間以内に700万人の人口域を埋め尽くし、偏西風で東に流れた火山灰によって北海道東部を除く日本全域で生活不能になると予想。「交通・ライフラインが完全麻痺に陥った1億2000万人の本州住民への救援活動は、ほぼ絶望的と考えざるをえない」という。

 研究成果は日本学士院紀要に11月11日に掲載される。

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