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人工頭脳「東ロボくん」、センター模試英語で「偏差値50.5」 国公立4校でA判定

» 2014年10月30日 15時58分 公開
[ITmedia]

 国立情報学研究所(NII)とNTT(持ち株会社)は10月30日、人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」で、人工知能「東ロボくん」が代々木ゼミナールの大学入試センター試験模試の英語に挑戦した結果、偏差値が50.5と平均を超える好成績を達成したと発表した。

 英語以外の教科のチームとの共同による全体成績では国公立大学4校6学部について「A判定」(合格可能性80%以上)に到達したという。

photo 英語成績が躍進=ニュースリリースより

 同プロジェクトは、2016年までにセンター試験で高得点を、21年春までに東大の入試を突破できる人工頭脳の開発を目指し、NIIが11年にスタート。各教科ごとにチームが組まれ、昨年には富士通研究所が参加した数学チームが代ゼミ東大模試で偏差値約60という結果を出している。

 英語チームには、自然言語処理などの基礎研究に取り組むNTTコミュニケーション科学基礎研究所が参加。複数人による会話から状況や話者の意図を理解したり、文章を読んで内容を表す文を選択するなど、英語問題は自然言語処理と知識処理の課題を多く含む。英語問題をベンチマークの1つとして使い、統合的な処理技術を高めていく狙いだ。

 単語の並びを解釈する「言語モデル」(単語の並びに関する統計情報)の構築技術を適用することで、文法・語法・語彙問題では10問中6問で正解、語句の並び替え問題では3問中2問が正解。話者同士の議論内容のまとめを問う意見要旨把握問題では、対話処理技術を使うことで3問中2問で正解したという。

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 この結果、得点は200点満点で95点・偏差値50.5となり、昨年度の52点・偏差値41.0から大きく伸びた。他教科を含む全体成績では、国公立4校6学部のほか私立大学472校1092学部についてA判定を得た。

 NTTは、プロジェクトへの参加で得た成果を対話や翻訳のサービスに実現していく考え。英語チームはNTTのほか、岡山県立大学、秋田県立大学、大阪工業大学、電気通信大学が共同で取り組んだ。

 11月2日には、「東ロボくん」成果報告会を都内の代ゼミタワー(東京都渋谷区)で開く。

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